【帰ってきた山口国男ガイダンスコーナー】(4)

<酷暑と隙間風>

 最後に、真夏の松戸競輪場について触れてみましょう。バンクを囲むスタンド(3~4階建て)には、ほとんど切れ目がありません。スタンドの内側は、盆地のようなものです。33バンクということもあるし、ほかの競輪場よりも熱がこもりやすい。気温は気象庁発表の数字よりも10度くらい、場合によってはもっと高いとみるべきでしょう。

 スタンドの数カ所に隙間があって、そこから風が入ってきます。けっこうきついのが、1コーナーの隙間から吹く風。つまり最終ホームが向かい風になりますから、先行選手にとってはやっかいで、まくりが決まりやすくなります。松戸バンクは圧倒的に先行有利ですが、最終ホームが向かい風の時は、車券を買う上でも気をつけなければなりません。

<夏の得意・不得意を見極める>

 選手だって人間ですから、夏が平気な人、苦手な人はいます。私はダメでしたね。全日本選抜(8月開催)に第1回の前橋大会から出場しましたが、なぜか前橋→熊本→向日町と暑さの厳しい競輪場ばかりだったので、良い成績は全く残せませんでした。冬には尾崎雅彦君(83年高松宮杯優勝)を抜くことができるくらいだったのに…。

 夏の松戸バンクはとにかく暑いですから、選手の動きや成績をよく見て、暑さに対応できているかどうか、しっかりチェックしましょう。

<明日からメインレース当日予想>

 オールスター、いよいよ明日、開幕ですね。ニッカンスポーツ・コムでは、私のレース予想を毎日公開します。ドリームレースや決勝などのメイン限定。当日の天候、競走の傾向といった新鮮な情報を交えて、発走直前に買い目を推奨しますから、ぜひ参考にしてください。お楽しみに!

 ◆山口国男(やまぐち・くにお)1950年(昭25)8月11日生まれ。東京都荒川区出身。日本競輪学校24期生、松戸をホームバンクとする東京登録選手として67年にデビュー。特別競輪(現G1)優勝こそ果たせなかったが、72年・高松宮杯と73年・競輪祭で決勝3着に入るなど、トップレーサーとして一時代を築いた。フラワーラインの司令塔としても活躍。01年の引退後、松戸競輪場で競輪ガイダンスコーナーの講師を務め、15年オールスターを最後に定年退職。