【川尻将志・オレに任せろ】

 ◆10R あの光景は忘れない。14年の名古屋日本選手権。優勝を飾った村上義弘は、競輪場の出口で待つファンに対し、最後の1人になるまで、握手、サインに応じていた。その時間、実に2時間以上。選手会脱会騒動で競輪界が揺れる中、声援を送ってくれたファンへ最大級の感謝だった。村上も「複雑な状況での優勝は、ファンの声援のおかげだった」と当時を振り返る。

 日本選手権への思いは人一倍強い。「自分の中でも重きを置いている大会」と表情を引き締めた。名古屋では14年だけでなく、11年の日本選手権でもV。当地日本選手権3連覇の期待を背負ってのレースが続く。相性のいいバンク、大会、そしていまだに漂う2年前の空気も。きっと勝負どころでは、村上の背中を押してくれるはずだ。

 2日目特選10Rの走りは、十分にらしさを感じさせてくれた。中団を確保し、最終2角過ぎには自力でまくって出た。あと1歩、3着には届かなかったが、その立ち回りは、存在感たっぷりだった。「ここに向けて徐々に仕上がっている」と話していたように、頂点を狙えるだけのムードをアピールした。

 2予10Rは近況充実の稲毛健太に前を託す。競り込まれる危険性はあるが、存在感の違いで番手をキープし、最後はシャープに差し切るだろう。村上の軸は不動。2着は近畿3番手に続く柏野智典に絞る。(5)(9)から3着は(1)(3)(7)(8)の4点で狙いたい。