【ヤマコウの時は来た!】

 ◆9R 

 岩津裕介が3月玉野G3で準優勝した後、サテライト山陰を一緒に回る機会があった。地元G3が終わった直後にもかかわらず精力的に回る姿は、SS班としての責任も感じた。シリーズ終了直後は、1日は自転車のことも考えずにのんびりしたいが、2日間のサテライト巡り。そこまでしてファンサービスに努める岩津の姿は少し意外だった。私はもっとクールな印象を持っていたからだ。

 岩津は、中国地区という地域特有の「層の薄さ」という悩みを持っている。その中で自分の長所を生かす走りを考えて、今の走りにたどり着いたという。「自分は平原や武田さんにはなれないのは分かっています」と、自分の立ち位置を冷静に見つめている。練習環境やレースを研究する話が印象的だった。中四国地区の若手に惜しみなくアドバイスを与え、練習方法を教えている話もよく聞く。

 私も脚力で圧倒して戦うタイプではなかったので、岩津の気持ちはものすごく分かる。川を流れる葉のように、流れに逆らわない走りをまず心掛けた。多少回る位置が悪くても次につなげる気持ちでレースに挑んだ。

 9Rは、自転車競技を経験して一皮むけた河端朋之の主導権が濃厚だ。岩津は中国地区の精神的支柱として頑張ってほしい。

(日刊スポーツ評論家・山口幸二)