【山本幸史・ヤマを張れ】

◆11R 令和最初の競輪界頂上決戦「KEIRINグランプリ2019」(GP)が30日、立川競輪場で開催される。本紙予想担当の山本幸史「ヤマを張れ」は、脇本雄太(30=福井)に自信の◎を打った。20年東京オリンピック(五輪)の金メダルを目指して競技と競輪の両方で活躍中。異次元のスピードと展開の利で優勝賞金1億340万円(副賞含む)を手にする。

GPも五輪も金メダルをかっさらう。GP発祥の聖地・立川で、脇本が初戴冠を果たす。

競技に専念していたため4カ月半ぶりとなる競輪場。前検日の27日にその空気を味わうと「懐かしさもあるし、なんか新人みたい」と笑った。そこから3日間、競技者から競輪選手へのスイッチを入れてきた。

5月の日本選手権(ダービー)で33年(34大会)ぶり史上7人目の完全優勝を達成。過去のGP覇者でその年のダービー王は6人いるが、これは全6G1の中で最も多い。無敗のダービー王なら、おのずと年末の覇者へと導かれるはずだ。

勝敗を分けるのは「スピード」と「展開」。脇本はロングスパートが持ち味で、16年リオ五輪以降、競技ではW杯ケイリンで2つの金メダルを獲得している。競技のケイリンも早めに先頭に立って世界のトップクラスを封じてきた。GPも同じ走りでねじ伏せる。

直近でも、今月14日のW杯(オーストラリア)ケイリンで残り1周半(370メートル)から先頭でペースを上げ、ラスト半周の地点で瞬間最高時速78・6キロを出した。最後の200メートルも71・4キロでまとめて1着。終盤で先頭に立ち、最後までスピードを維持し続ける。この走りができる選手は国内では他に見当たらない。

次に展開。脇本は「ウィナーズC初日(1着)が一番印象が強い」と、残り1周から一気に仕掛けて押し切った一戦を今年のベストレースに挙げた。今回掲げているテーマ「インパクトのあるレース」とは、当然「逃げ」を示唆している。

同じナショナルチームの新田は後方からの仕掛けが主戦法。中川も同様だが、これは先行する脇本からの距離ロスと、前の選手らのあおりを受けるリスクと背中合わせだ。

脇本のスピードは約70キロで、番手の村上は離れる。平原、郡司ら位置取り重視の選手たちも脇本の真後ろにスイッチするには相当な加速力が必要で、現実的には難しい。清水が逃げても脇本とはスピードが圧倒的に違う。「去年(5着)以上に気負いなく走れるんじゃないかな」。残り1周で先頭に立ち、後続を置き去りにする。

相手は新田。今月8日のW杯で200メートル9秒6(74・6キロ)を出した脚力で後方から迫る。清水の勢いをもらう松浦、単騎では郡司を連穴に。3連単は(3)(7)-(2)(5)(6)を厚めに(3)-(2)(5)(6)(7)-(2)(5)(6)(7)。