ガールズ116期の高木佑真(21=神奈川)が26日の松戸決勝で逃げ切って初優勝を決めた。日本競輪選手会制作の2021年カレンダーに登場するなど、キュートな人気レーサだ。昨年7月にデビューして通算37場所目で初のVゴールを果たした。
優勝後に控室に戻ると、目がうるんでいた。「よかった、よかった。うれしい、うれしい」と声を弾ませ「今日は自分のタイミングで焦らずに仕掛けようと思った。前が流していてチャンスがきた」とVシーンを振り返った。
競輪学校(現・競輪選手養成所)の頃から先行にこだわった。デビュー2場所目にいきなり準優勝したが、その後は上位陣にも警戒されて苦戦した。一方で同期はデビュー戦Vの吉岡詩織を皮切りに、続々と初優勝を決めていった。
焦りや、戦法に迷いが生じた時期もあった。それでも、師匠の白戸淳太郎から「まずは力を出し切ること」と諭されて先行への思いを強くした。そしてこの夏にあるこつをつかんだ。
「腹圧に力を入れる。肘や肩甲骨の使い方を考えて自転車に乗る。多くの人に言われてきたことが、何となく分かるようになった。今ではそんなに力まなくても、自転車に力が伝わる。進んでいくんです」。同じ頃に使い出した新車もなじんできた。自然と乗り込みの量も増えた。
今節の前には、プライベートでも親しくする佐藤水菜が2年連続のガールズグランプリ出場を決めた。白戸も11月前橋で優勝した。身近の仲間が活躍することでこの上ない発奮材料を得た。「松戸はホーム、バックは先頭で」と心に秘め、初日から決勝までゴールまで真っ先に駆け抜けた。
愛車を片付けながら、これまでを思い起こした。「見守ってくれた家族や師匠、知り合いでガールズ選手への道を教えてくれた記者さん。同期のみんな。支えがあって頑張れた。感謝しています」。向上心の強さが武器。ひとつ殻を破り、すぐに次の目標が定まる。「次の京王閣(12月3~5日)は高木真備さんがいる。また、頑張りたい」。
コロナ禍で開催中止が相次いだ春先には自身が監修した「ゆまカレー」や、SNS等を使って選手情報を発信し、輪界の魅力を伝えた。これからはファンに力強さも示す。新たな戦いが加速する。【野島成浩】