近藤幸徳(58=愛知)が、38年間の選手生活に別れを告げた。ラストランとなった一般2Rは打鐘から仕掛けたものの6着だった。

レース後、選手仲間から花束を受け取った近藤は「デビュー戦(83年)の門司で先行して、ラストも勝てなかったけど先行できて良かった。悔いなくやり切れました」と感激の表情を見せた。


ラストランを終え家族から花束を受け取りねぎらわれる近藤幸徳(中央)。左は3男の龍徳選手(撮影・秋山正則)
ラストランを終え家族から花束を受け取りねぎらわれる近藤幸徳(中央)。左は3男の龍徳選手(撮影・秋山正則)

近藤の競輪人生は病気との闘いだった。デビュー10年目にC型肝炎を発症。練習もままならない中でS級を維持し続けた。晩年は脊柱管狭窄(きょうさく)症を患い、成績を残すことができなかった。


どんなに苦しい状況でも全力を出し切るレーススタイルは、多くのファンに感動を与えた。日常での礼儀正しさはまさに修行僧。レースが始まる前と終わったあと、ファンに向けて体を90度に折り曲げる最敬礼は印象的だった。負けても声援が飛ぶ数少ない選手の1人だった。


◆近藤幸徳(こんどう・ゆきのり)1963年(昭38)5月16日生まれ。通算3261走、1着516回、2着355回、3着305回、着外2014回。03年2月の小松島G2西王座戦で決勝進出。息子はS級1班の近藤龍徳。