◆闘いに思いを馳せて

 今でも、はっきりと覚えている。

 1995年。高松宮記念杯は当時、「高松宮杯」だった。その最終日、6月6日。自宅に近い松戸競輪場へ向かっていた。開催地・びわこ競輪場で観戦したかったが、仕事の都合で断念。やむなく場外で車券を握り締めることにした。

 満を持してそろえた軍資金。全て決勝につぎ込んだ。しかも、1点買い。

 日本中に衝撃を与えた天災地変から、5カ月後のことだった。【藤代信也】