【栗田文人・車券放浪記】

◆12R:決勝

同じ失敗は繰り返さない。新田が史上4人目のグランドスラムを達成するとともに、7年連続8度目のグランプリ出場を決める。

準決10Rは先行態勢に入った吉田がペースを緩めるとみるや、打鐘4角8番手からカマし、一気に前団をのみ込んだ。番手菅田にこそ差されたものの、負けて強しの2着。「体も気持ちも問題ない。グランドスラムに王手をかけられて良かった」と素直に喜びを表した。前日のローズカップ(C)では単騎8番手からまくって快勝し、バンクレコードまで0秒1と迫る10秒7をマークしている。仕上がりは万全だ。

決勝は北勢が4人並び、新山の番手という絶好の位置を回る。その新山は準決11Rを1周半逃げ切っており、3、4番手を固める菅田-大槻も出来は申し分ない。新田は「みんな絶好調です」と全幅の信頼を口にし、同時に真剣な表情で「前回の失敗は絶対にしたくない」と言葉に力を込めた。

その「前回」とは9月の岐阜G2共同通信社杯決勝を指す。この時は先行した新山の番手を回ったにも関わらず、優勝した山口拳矢をヨコに止めにいって止められず、断然人気に応えられなかった(4着)。「今回はいけると思う」。別線が来れば、迷わずタテに踏む決意だ。

今大会の主役の1人と目された脇本雄太は、腰痛で無念の欠場となった。東京オリンピック代表の盟友の分まで、新田が渾身(こんしん)の力でペダルを踏み込む。

3連単は(3)-(6)(9)(1)-(6)(9)(8)(1)(2)。