いよいよ決勝を迎える。ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)は単騎の浅井康太を本命に推した。展開がもつれそうだが、最後に仕掛けて届くとにらんだ。

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全レースが終わった後、不破将登を発見! 福永大智のカマシを、懸命に追いかけて1着。「よく頑張った」と声を掛けると「ゴール前、力を出し尽くして白目になりました」と、満面の笑みで答えた。隣には、やさぐれた表情で野原雅也と川口公太朗が座っていた。そこには優勝劣敗の世界があった。

準決3個レースの中で、特に目を引いたのは郡司浩平だった。野原の2角3番手まくりを、ゴール前余裕でとらえて1着。上りタイムは10秒8だった。特に力むところもなく、スーッと自転車が進み、まるで魚のようだった。体の使い方を熱心に研究している浅井康太でさえ「郡司の自転車がなんであんなに進むのか、ダイジェストを何回も見たが結局分からなかった」と言うほどの完成度だった。

ヤマコウが決勝で本命に推す浅井康太
ヤマコウが決勝で本命に推す浅井康太

浅井は鎖骨骨折治療の固定ワイヤを抜いて「抜く時に鎖骨が折れたかのような衝撃だったけど、驚くほど可動域が広がった」と話した。

ただ、今節の郡司や松浦悠士と比較すると、やや物足りない印象もある。それは浅井が位置取りの面で貪欲に取り組んでいないからだが、決勝は松浦が郡司を意識している分、混戦になる可能性はある。

そこに鈴木竜士も加わり、足をためる浅井には展開が向きそうだ。鈴木は先手の3番手にこだわる走りをするだろうから、その後ろは確保したい。郡司と松浦、前受けした方が先手を取るだろうから、鈴木ラインに付いていけばチャンスが訪れる。(日刊スポーツ評論家)