1予9Rの皿屋豊は前受けから6番手に引いてバックまくり。3番手から先まくりした吉松直人の上を軽々とまくった。ゴール後、必死で追走した不破将登を気づかう余裕まであった。

近況の皿屋の走りで、印象に残っているのは、先月の名古屋F1決勝。番手に付いた林巨人の引退レースに花を添える走りは見るもの全ての心を打った。初めて巨人が大きく見えた。その後、皿屋のSNSには通常の5倍近くの「いいね」が付き、反響の大きさを感じさせた。私もこっそり「いいね」を押したその1人だ。

ヤマコウは果敢な走りを見せる皿屋豊に期待した
ヤマコウは果敢な走りを見せる皿屋豊に期待した

これからの皿屋の課題は、Gレースの勝ち上がりで先行して4角勝負できるかどうかだ。極端な話、残り2周で先頭に立って先行するならどんな弱い選手でもできる。人がもがける距離はだいたい1周半。限られた600メートルの距離を、人の動きを利用して走る省エネ走法を覚えることが大切だろう。それが競輪の組立ての礎となる。

2予9Rは、自力の対戦相手と力の差があるのでホームカマシで押し切れるだろう。安易にまくりに構えて浅井康太に先着するのではなく、どのタイミングでどの位置から攻めるのかが重要だ。(日刊スポーツ評論家)