3日目の2予8R、古性優作の動きには驚いた。先行する根田空史の4番手を取ってもバックからまくりにいく気配がなく「余裕がないのかな?」と思った瞬間、後ろからまくり上げた松本貴治を完璧ブロック。その姿は気配を消して獲物を待ち続けるワニのように見えた。2日目の特選も、古性でなければ転んでいたと思う。ハンドルさばきは異次元だった。

異次元といえば、2予10Rに登場する元ハンマー投げ日本王者・野口裕史の先行力も38歳にしては異次元だ。今やキャラが定まって、彼に先行争いを挑むということは、9着覚悟でないとできないところまできた。その集大成が西武園G3だった。先行で売り出している高橋晋也が先行争いを期待してまくりに構えるほどで、町田太我のカマシを封じて完全優勝。自らのキャラ(先行)を確立した選手は強いことを証明した。先行に限らず、追い込みでもまくりでも、相手に認められるほど貫くことの大切さを教えてくれたと思う。

ヤマコウは野口裕史(左)がGP王者和田健太郎を背に準決行きを決めるとにらんだ
ヤマコウは野口裕史(左)がGP王者和田健太郎を背に準決行きを決めるとにらんだ

野口に先行勝負を挑むのは誰か。強気な攻めは野原雅也が対抗格だが、車番が野口ラインの次にいいので、野口をたたく展開に持っていくことはない。仕方なく後方に置かれた方が野口をカマシにいくだろう。それは山岸佳太となるが、そこまで腹がくくれるかどうかは未知数だ。

主導権を取るまでに足を使わない上に、1予で海老根恵太を振り切ったレースから、まだ好調が持続していると判断した。野口の逃げ切りに期待したい。(日刊スポーツ評論家)