予1・10Rの女王・児玉碧衣は、やっぱり強かった。じっくり構えてレースを待ち、柳原真緒にレースを動かせる。そしてまくる。「チョウのように舞い蜂のように刺す」。その姿はムハマド・アリのように見えた。

小林優香、碧衣の影に隠れているが、同じ久留米の大久保花梨の調子もかなりいい。初日、尾方真生の先行を尾崎睦がまくる。その後ろにいた大久保は、まくり不発の外を仕掛けて2着に食い込んだ。力がないと外に膨らんで着外のパターンだ。

新車の感触が上々の大久保花梨は上機嫌
新車の感触が上々の大久保花梨は上機嫌

今のガールズケイリンは初手で前団を取り、後ろの仕掛けを待つ。主導権争いがひと息ついたら仕掛ける。この流れが主流だ。それができたからこそ、前節の岸和田で石井寛子を苦しめることができた。ラインがないケイリンは、上位戦になるほど推理が難しい。それは選手も同じで、一瞬の判断が明暗を分ける。

「初日が2着でポイントに余裕がある分、2日目はもっと積極的なレースがしたい」というのは碧衣より先にまくる展開だろう。予2・10R、碧衣を苦しめるのは大久保しかいないといえる。(日刊スポーツ評論家)