ピットに入ると、カラーリングに目を奪われる。正直、髪の色しか見ていないかもしれない。それぐらい、堀本和也(29=徳島)のヘアスタイルは独特だ。

堀本和也
堀本和也

 「顔が地味ですからね。何か目立つなら、髪を染めることでしたね」

 デビュー2カ月後には金髪になっていた。「師匠ではないが、面倒をみてもらっている」という同支部の先輩・近藤稔也とともに金髪にした。「大阪の町を2人でスーツを着て歩いて、周囲に怖がられたこともありました」と苦笑い。

 以後は真っ赤もあれば、赤と黒の両方のコンビネーションもあった。現在は左側4分の1だけ赤という感じになっている。

 先輩の受け入れ方も、最初は微妙だったという。でも次第に“髪の色”から、いろんなことに発展していった。同支部の山田祐也や喜多須杏奈らも奇抜なヘアスタイルを、まねるまでになったほどだ。

 髪の毛でいじってもらえれば、顔も名前も覚えてもらえるようになる。それは堀本自身の“成長”にもつながっている。旋回術と調整力を身につけてA級に定着するようになってきた。

 宿舎での会話の内容も変わっていった。髪の毛の話から始まった会話が、だんだんボートレースへの話に変わっていったという。

 「最初は髪のことでいじられてばかりだったけど、先輩からアドバイスをもらえるようになりました。田中信一郎さんからボートレースの奥深さを学んだときは『髪を染めて良かった』と思いました」

 偉大な先輩の助言は財産となった。堀本は自分の髪の毛を誇りに思っている。

 ◆堀本和也(ほりもと・かずや)1989年(平元)4月2日、徳島県生まれ。111期生。167センチ、57キロ。血液型A。