永井大介(40=川口)が鮮やかな逃げ切りを決めた。追走する早川清太郎を抑えて、G1ゴールデンレース、G2川口記念に続き、出場したグレード戦は3連続の優勝。今年の優勝は5回目で、V量産モードに入った。次のターゲットは、15年日本選手権以来のSG制覇だ。

 神経を研ぎ澄まして時計を見る。永井はスタートにかけていた。「スタートで行けないと何もない。それだけしかない」。グレード戦45回優勝のダブルグランドスラマーが、思い切りアクセルを握る。一気に飛び出した。06のトップスタートだ。4枠からあっという間に内枠勢をかわし、先頭を奪った。

 2番手の早川清太郎が迫ってくるが、培ったテクニックを駆使して抜かせない。インをぴたりと守るレースは、豪快なイメージとは逆だ。「本当はもっと大きなコースを走りたかったが、手前から行き足がなかったので」。スタートが決まった以上、勝利への最短距離を選んだ。我慢を続けた8周回の後に、Vゴールが待っていた。

 試走34は5番目。「乗りやすさはあったが、行き足が鈍くまずいと思った」。それでも、今年は優勝できる。歯車がかみ合わなかった昨年とは対照的。勝負に重要な勢いが、完全に戻った。「(早川には)抜かれても仕方ないと走っていたし、まさか勝てるとは…。調子が良過ぎるね」。経験と勢いが、19回目のG1優勝を生んだ。

 次のグレード戦は26日からの飯塚G1ダイヤモンドレース。「現行マフラーになるので、セッティングをしっかり煮詰めたい」。グレード戦4連続Vの先に、SG優勝がはっきり見えている。【天野保彦】

 ◆永井大介(ながい・だいすけ)1977年(昭52)1月23日、東京都生まれ。川口所属25期生。S級5位。SG優勝はオートGP(08、13、14年)、オールスター(09、12、13年)、全日本選抜(09、13年)、日本選手権(10、11、12、15年)、SS王座決定戦(08、14年)。G1は今回で19回目の優勝。通算優勝85回。1着1010回。趣味はゴルフ。170センチ、49キロ。血液型O。