競輪実況に携わり29年、記者との“二刀流”になって3年目になる。ともに競輪を伝えるのが仕事だが、似て非なるものだ。
実況は「流れを読んでリズム良く、的確に短い言葉で伝える」のがモットー。例えば、まくった選手は初速と航続距離を判断し、豪快にまくりそうなら先行選手との詰め方を見つつ盛り上げていく。一気に仕留めた時に「まとめて面倒見た!」というフレーズを使うが、決して自分が目立とうという気持ちではなく(少しはあるかも…)レースを印象付ける場面を手短に伝えたい一心なのだ。
レースが終われば、選手もリプレーで実況を聞いてくれる。かつて「まとめて…」と実況した黒木誠一(兵庫)は、いまだに「また、アレ言うて欲しいわー」と声をかけてくれるし、優勝実況をしたことがある松尾淳(岐阜)は、取材で会うたびに「今回は縁起が良いですね」と言ってもらえる。選手も喜んでくれる仕事なのだと、改めて感じる。
先日、佐世保で鈴木伸之(愛知)が、46歳の誕生日に通算300勝を達成した。本人が狙っていたか定かではないが、ゴール後に実況で伝えた。事前に調べたことが生きた形が、1つの勝利に意味があるなら、これからも伝えていきたい。
記者取材は実況の時よりも選手に接する時間が長い。紙面でも実況同様に真剣にレースに向き合い、勝利を目指す“かっこいい”選手を伝えていきたい。






















