明日14日から19日までびわこボートで「G1第61回近畿地区選手権」が行われる。昨年の最多勝&日刊三賞敢闘賞を受賞したホストレーサー吉川昭男をピックアップする。

 びわこのリーダー格となるのは吉川昭男だ。昨年は、年間最多勝(注1)に加えて、日刊ボートレース三賞の敢闘賞(注2)とダブルタイトルをつかむ大車輪の活躍となった。

 その中でも、地元びわこでは今年の正月戦を含めて10節中3節がV。走り慣れた水面で大いに躍動した。「周りの選手からも地区スター(注3)ですか! と突っ込まれますよ(笑い)。それだけ多く呼んでいただいて、光栄ですね」と、照れ笑いを浮かべる。

 結果を残すことができたのは調整を熟知しているのが大きい。「内にこだわるので、生命線はもちろん出足、行き足を求めます。どちらかといえば夏場はペラ調整だけで出すことができる。冬場は気温、水温を考えて回転を止めなければいけない時は難しいですね。ただ、メリットもあるんです。内で深くなったとしても持たせることができる。これは大きいですよ」と、冬場でもエンジンの特性を最大限に生かして内寄りから手堅く、時に大胆に立ち回ることができる。

 当然ながらいいエンジンを引くことが一番だが、気になるエンジンがあるという。「怖いのは中間整備(注4)が入って発展途上のエンジンですね。びわこの場合はこれがよく出るんですよ」。びわこの特徴だが、中間整備のエンジンは噴くことが多い。その要因を聞くと「エース機はペラをほぼたたかないでしょ。でも、上り調子のエンジンでペラ調整が合うと爆発力が違うんですね。とんでもないことになるから。時にはエース機よりも出ると思っています。それを引いて活躍したいですね」と、にやり。

 全国でも最大の激戦区となる近畿ダービー。地元で強力な遠征陣をがっちり受け止めて、大暴れしたい。

 ◆吉川昭男(よしかわ・あきお)1973年(昭48)1月29日、滋賀県生まれ。92年5月に70期生としてびわこでデビュー。いきなり連勝を決めて周囲を驚かせた。97年徳山タイトル戦でデビュー初優勝。通算優勝は47回。G1やSGの優勝はなく、今節の近畿ダービーで悲願の記念タイトル奪取をもくろむ。167センチ、53キロ、血液型A。

 (注1)最多勝 昨年の出走回数は316走。事故がなく1年間をコンスタントに走り抜いて、勝ち星は124。2位の永田啓二に14も差を広げて、最多勝タイトルを獲得した。

 (注2)日刊ボート三賞敢闘賞 年間1、2着の合計回数で争うタイトル。昨年は2位の永田啓二との差はわずか2ポイント。吉川が初受賞を飾った。

 (注3)地区スター 次代を担う若手有望選手を強化・育成するスター候補選手が毎年選出されている。「トップルーキー」「フレッシュルーキー」の2ランクに分かれていて、フレッシュルーキーは地元レース場中心のあっせんとなっている。

 (注4)中間整備 非開催日に事故のため壊れた部品の交換が主体だが、びわこでは不調のエンジンを整備士さんが乗り込みながら調整をするので、一変することもしばしば。コアなファンの間では名物となっている。