「G1第64回九州地区選手権競走」が15日から6日間、若松ボートで開催される。昨年の覇者・田頭実が連覇に燃える。なお、優勝者には3月に浜名湖で行われるSGクラシックの出場権が与えられる。

 田頭実がシリーズ連覇に挑む。昨年の福岡大会優勝戦は、6号艇から前付けで3コースを奪取すると、コンマ02とスタートを踏み込みまくりを決めた。「手前でちょっと放ったけど、スリットでは全速で行けた」。このスタート力こそ田頭の最大の武器だ。

 もちろんこの思い切ったスタートが裏目に出ることもある。昨年1月の津匠シリーズでは2日目にコンマ09のフライングで即日帰郷。しかしその2節後が優勝した福岡の地区選手権だった。フライングを抱えても攻めの姿勢を変えずスタート力が衰えないところが田頭の強さの秘密だろう。

 地元若松には特別な思いがある。「育ててくれた場所だし、ファンが応援、期待してくれる。『田頭ならスタートは行ってくれる』と思われてるし、若松では負けられないという気持ちが強い」。それがG1であろうが、一般戦であろうが関係はないという。

 昨年10月に若松で切ったフライングのため、12月の福岡の後、2カ月の休みに入った。今年はこれが走り始めとなる。年頭に目標を立てる選手もいるが、田頭は数字を含め一切の目標は立てない。「若いころは地元のSGとか、勝率を目標にしたこともあったけど、それに縛られて逆にリズムを崩したのでやめました。今は目の前のレースに集中して走ることだけを考えている。それが一般戦とかG1とかは関係ないです」。

 いくらスタート勘のいい田頭でも、さすがに2カ月の休み明けとなると不安を覚えるという。「1カ月だったら休んだ気がしないし、ほとんど関係ない。でも2カ月休むと初日のスタートは不安ですね」。それでも「ペラ調整を含め、初日の後半くらいには間に合うと思う」というから頼もしい。

 来月には51歳になるが、スタートで先行する攻めの姿勢にぶれはない。ファンのためにも“田頭流競艇道”に、今年も邁進(まいしん)する。

 ◆田頭実(たどう・みのる) 1967年(昭42)3月29日福岡県生まれ。86年5月若松でデビュー、3走目で初白星。初優勝は91年6月大村のタイトル戦。優勝はSG2回、G16回、通算65回。同期は平石和男、三角哲男ら。158センチ、52キロ。血液型O。