地元の岩科鮮太(37)がG1初優勝を飾った。スタート直後に先頭を奪い、後続を寄せ付けず圧勝した。

 シャワーのように降る雨を切り裂き、インを使って一気に伸びた。8周回、独走劇の開幕だ。デビュー15年目。夢のタイトル奪取に向け、万感の思いを込めてマシンを操った。「エンジンは初日からずっと良かった。展開が向いたし滑らないように注意して乗った」。

 プールになった走路を味方につけた。鈴木圭一郎が「浮いてどうにもならなかった」と振り返る中、瞬時の先頭が勝因だ。表彰式の第一声は「信じられない。夢みたい」。G1ファイナルは14年飯塚開設記念以来4年ぶり。道中2番手は、はるかかなただったが「音が聞こえる気がした」。忘れかけた舞台だけに、あり得ないセリフも出た。

 飯塚所属時代の師匠、浦田信輔が4回制している大会。「今まで以上に勝っていきたい」。師弟制覇を一皮むけるきっかけにする。【天野保彦】