吉川元浩(46=兵庫)に11年ぶりの春到来! 優勝戦は安定板使用で行われ、1号艇の吉川がインからコンマ12のトップスタートをたたき込み、力強く押し切った。

07年12月福岡グランプリ以来、実に11年2カ月ぶり、2度目のSG制覇。2着は強烈なツケマイで見せ場を作った馬場貴也。3着は桑原悠が入った。また、4着の白井英治は史上初のゴールデンレーサー賞を獲得した。

「長かった。やっと取れた」。レース後、吉川が漏らした言葉に、全ての思いが凝縮されていた。最高峰のSGグランプリを07年12月に勝って以来、11回目となるSG優勝戦。予選2位ながら1号艇をつかみ、機力もトップ級。流れは確実に来ていた。しかし、最終日は突如、水面が荒れた。横風10メートル、安定板も付いた。前5日間とはあまりに違うコンディションに、「最後は開き直った」。雌伏の11年で鍛えた精神力が生きた。「エンジン出し、心の部分は当時より、今の方がいいかなと思ってます」。抜群に仕上がった行き足、馬場貴也のツケマイを受け止めた冷静さ。6日制SGの初優勝は、完璧な逃げ切りだった。

昨年はG12勝。賞金7位で住之江グランプリに出場した。トライアル1stを突破し、2ndでも健闘。ファイナル出場へ手が届きかけた。しかしながら、トライアル3回戦でまさかの6着。「5着で(優勝戦に)行けていた。でも、久しぶりに出て、また行きたいなという気持ちになった」。9年ぶりの大舞台が前向きな気持ちを呼び起こした。導火線に付いた火を、戸田の水面で早くも、燃え上がらせた。

優勝賞金3500万円を獲得し、2年連続のグランプリ出場は、アクシデントさえなければ、ほぼ確定的だ。「昨年出て6位以内で乗らないと駄目だなと思った」。好発進を決めた今年は、年末への期待がぐっとふくらむ。戸田で咲かせた満開の桜を、12年ぶりのグランプリ制覇につなげる。【東和弘】

◆吉川元浩(よしかわ・もとひろ)1972年(昭47)9月7日、兵庫県生まれ。建設会社勤務を経て、79期生として96年11月尼崎でデビュー。デビュー戦でいきなり初勝利。99年1月丸亀で初優勝。通算優勝83回。SG優勝は2回目。G1は18勝。趣味は釣り。164センチ、51キロ。血液型O。