競輪界の鉄人がまたも金字塔を打ち立てた。現役最年長64歳2カ月19日の三ツ井勉(神奈川)が一般2Rで1着。前場所和歌山3日目に続く勝利で、自らの持つ最高齢勝利記録をさらに16日更新した。

果敢に逃げた桜井大地を目標にゴール前で差し切った。検車場に戻って桜井を探し「よく行ってくれた」とねぎらい、待ち受けた記者には「知っている人がスタンドにきていたし、頑張らないとね。1着なんてうれしい」と照れくさそうに話した。

代謝制度でラストランとなる今節も全力投球が続く。半年で区切られる期ごとの平均競走得点が3期続けて70点未満になる選手は、その3期の平均得点下位30人が代謝となる。三ツ井は下位30人から抜け出すことが絶望的な状況を悟っていた。「もう最後。10月から挽回しようとしたけど、間に合わなかった」。

鋭くまくったり、別線に競り込んだりと、シビアな走りでかつてはS級でも善戦。還暦を過ぎても存在感を示し続けた。「この年齢までやったといっても、選手みんながやってることをしてきただけ。素質があれば70歳までやれたよ。松井宏佑(弟子)や後輩たちには、結果はどうあれ頑張れと言いたい」。社会人から輪界入りして40年目。闘志は衰えず現役への未練を残しながら、ラストレースの30日選抜4Rでも目いっぱいペダルを踏む。