兵庫県尼崎市の尼崎ボートレース場で9日、G1近畿地区選手権4日目の第9レースに出走していた松本勝也選手(48)のボートが他のボートと衝突した。松本選手は搬送先の病院で午後4時12分、死亡が確認された。

6号艇だった松本選手は1周目の2回目のターン中に減速し、後続ボートと衝突。後続ボートが松本選手のボートに乗り上げた。後続の選手にけがはなかった。

一般財団法人「日本モーターボート競走会」尼崎支部の岡崎一郎執行役員によると、医師や看護師らにより、心肺停止状態になった松本選手の蘇生が試みられたが、救急搬送された兵庫医大病院で死亡が確認された。目立った外傷はなかったが、装着していたヘルメットには大きな傷が残っていたという。尼崎南署では詳しい原因を調べている。

松本選手は91年5月にデビュー後、ボートレース最高峰のSG(スペシャルグレード)、G1などトップ戦線で活躍。97年2月三国で開催された近畿地区選でG1初の優勝戦進出(2着)、G1での通算優勝戦進出は21回。SGでは99年7月若松で開催されたオーシャンカップに初出場。00年6月に下関で行われたグランドチャンピオン決定戦で初のSG優勝戦進出を果たした。

今年は1月の徳山G1周年記念、唐津G1周年記念に出場するなど、トップレーサーとして健在ぶりを見せていた。プロペラ調整能力の高さにも定評があり、理論派としてファンから人気が高かった。仲間からの人望も厚く、先輩後輩を問わず、相談を受けることも多かった。

◆松本勝也(まつもと・かつや)1971年(昭46)9月1日、兵庫県生まれ。68期生として91年5月尼崎でデビュー。93年11月丸亀で初優勝。通算成績は6838走、1798勝。優出は277回で優勝42回。勝率で分けられるランクは最高位のA1級だった。同期は山一鉄也、高橋勲、柴田光、野沢大二ら。162センチ、53キロ。血液型O。

<ボートレース選手のレース中の死亡事故>

現役選手の死亡事故は今回で31件目。尼崎では2件目。13年11月2日に女子レーサーの鈴木詔子選手(東京=当時52)が、山口・下関ボートレース場で試運転中にボートが全速状態になり、対岸の岸壁に衝突。脳挫傷で亡くなった。