ビッグ初の無観客レースは、中国ゴールデンコンビが新鋭の進撃を止めた。

松浦悠士(29=広島)が清水裕友の逃げに乗って勝利。昨年11月のG1競輪祭以来、番手まくりで2度目のタイトルを獲得した。この優勝で賞金ランクは2位。G1全日本選抜Vの清水とともに2年連続のKEIRINグランプリ出場へ視界が開けた。

ゴールデンコンビの絆は強かった。松浦が打鐘先行した清水を番手まくり。後方からまくり上げた高橋や、その外を伸びた守沢との直線勝負を制した。

昨年の競輪祭以来、2度目のビッグ制覇。優勝会見でも堂々としたものだ。「ラインの力のおかげ。きつかったが押し切れた。清水が先行してくれた。僕は前に踏み、後ろの柏野(智典)さんは横へ踏んだ」。まるで背中に目があるように後続の状況を振り返った。

けがも癒え、互いに信頼する清水との連係でG2初Vを呼び込んだ。2月の全日本選抜決勝は逃げて清水のG1初Vを導きながら、ゴール後の落車で右肩を強打した。直前の松山G3は切れと伸びを欠いたが、今節は懸命に体をケアして臨み、2予と準決の連勝で復調を確信した。

決勝は「動きたい」と決意した清水をマーク。清水は逃げて大敗したが、「相手(高橋)が強いし、半端な気持ちでは出られない。また、中国勢でグレードレースを独占していきたい」と話した。その実直な姿勢に、松浦は道中で「頼もしい背中」と感じ取った。番手からどんぴしゃのタイミングで踏み込み、高橋のまくりを合わせきった。

ビッグ初の無観客レースでも集中力を保った。「僕はミッドナイトを走ったことがある。今回は声援がなくさびしかったが、モチベーションを保てた」。賞金ランクは清水に次ぐ2位。「残りのG1を頑張る。いっぱい取りたい」。清水と2人でタイトル戦線の王道を突き進む。【野島成浩】

◆松浦悠士(まつうら・ゆうじ)1990年(平2)11月21日、広島市生まれ。市立広島工卒。98期生で10年7月に熊本でデビュー。19年小倉競輪祭でG1初優勝。通算成績は845戦228勝。通算獲得賞金は3億755万1100円。168センチ、73キロ。血液型O。