【松井律・競輪黙示録スペシャル】

競輪には評価される“負け”がある。

4日目ゴールデンレーサー賞の清水裕友は、少年時代から憧れていた佐藤を連れて先行した。結果は9着でも、この日一番の歓声を浴びた。「(佐藤)慎太郎さんには、全国300万人のファンがいるらしいので、本当なら僕もオールスターのファン投票は安泰ですね。証明してもらいます」とおどけた。

今年のダービーは賞金額が大幅アップ。現状なら、表彰台に上がれば、5年連続のKEIRINグランプリ出場はほぼ決まる。だからこそ、準決突破は絶対に外せなかった。

4日目の夜、準決9Rのあらゆる展開パターンを頭で巡らせた。「何回シミュレーションしても1着が取れない。2着は取れるんですけどね。それで眠れなくなってしまいました」。

アクシデントもあったが、しっかり対応しながら外のコースを伸びた。「落ち着いていた。やっぱり(繰り上がりの)2着でしたけどね」と、オチまで完璧。いちいち笑わせにくる。

“競輪はメンタルスポーツ”が持論の清水は、初戦でいい走りができれば、勢いに乗ってしまう。佐藤との連係で、いわき平のファンの支持も得た。あと必要なのは、少しばかりの“運”か。

決勝11Rは、脇本雄太と真杉匠が主導権を争う可能性は十分。「展開が向きそうだね」と聞くと、ニヤリと笑った。何よりも、今回の清水を見ていて思う。これだけ口が回れば、きっと足も回る。(3)-(2)(1)(6)(9)-全。