深谷が劇的Vでグランプリ切符! 最終日12RでSGチャレンジカップの優勝戦が行われ、6枠の深谷知博(34=静岡)が2M、こん身のターンで逆転優勝。賞金ランク25位から見事な下克上を果たし、ヒーローになった。


SGチャレンジカップを制し、妻の鎌倉涼から祝福される深谷知博
SGチャレンジカップを制し、妻の鎌倉涼から祝福される深谷知博

バックでは山口剛、篠崎仁志が少し前。深谷はその後方で冷静に戦況を見ていた。「1Mを回った瞬間に3着だと思った」。腕達者ばかりのSG優勝戦。1度、上位の隊形が決まってしまえば、逆転の機会はほぼない。しかし、2Mで勝機が巡ってきた。山口の先マイが流れ、並走していた篠崎は舟を引く。両者の間に絶好のスペースが…。外に構えていた深谷が狙い澄ましたまくり差しでズブリ。「ベストのターンができました」。奇跡的な好展開を自然体の旋回でとらえた。


 
 

SGチャレンジカップ優勝戦12R、1周2Mを先取りする深谷知博(手前右)
SGチャレンジカップ優勝戦12R、1周2Mを先取りする深谷知博(手前右)

前検日時点の賞金ランクは25位。予選を18位で通過し、準優で2着に入り、優出した。そして、優勝まで。全てが崖っぷちだった。レース直後、夫人の鎌倉涼から祝福の言葉を受けたが、「覚えていない。たぶん、おめでとうだったと思います」と苦笑い。必死にもがいた先に、2度目のSG制覇が待っていた。


SGグランプリの地は大村。20年10月、SGを初めて勝った場所だ。「縁のあるレース場です。今でもダービーで優勝した時の調整のイメージが残っています」。初出場だった20年の平和島グランプリでは転覆。不完全燃焼に終わった。「自分のベストを尽くします」。同支部の偉大な先輩の言葉を借り、半月後には決戦の地に乗り込む。【東和弘】


 
 

◆深谷知博(ふかや・ともひろ)1988年(昭63)4月1日、静岡県生まれ。やまと学校(現ボートレーサー養成所)の103期生として、08年11月浜名湖でデビュー。初陣で初勝利を挙げ、節間2勝。非凡なセンスを見せた。11年11月芦屋で初優勝。20年10月大村ダービーでSG初優勝。SGは今回で2度目。G1優勝は2度。夫人は鎌倉涼。同期は小野生奈、渡辺和将ら。164センチ、52キロ。血液型A。