日刊スポーツ新聞社制定「第35回オートレース年間三賞」が、選考委員会により選定された。殊勲賞が鈴木圭一郎(28=浜松)で4年ぶり4度目の日刊MVPに輝いた。なお、今年も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、表彰式典は行わない。

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鈴木圭一郎は18年以来、4度目の「殊勲賞」を受賞した。昨年は通算91度の1着、SGはオールスターとSS王座決定戦の優勝と、賞金王が大きな決め手となった。「SS王座決定戦を走るまでは(殊勲賞は)無理だと…。その優勝でぎりぎり日刊MVPを取ることができて、びっくりしています」。鈴木は受賞の喜びより驚きの方が先だった。

「SS王座決定戦は川口が新走路で、スタートを切れたらいいタイムで上がれるな、というのはあったんですけど。トップスタートとは思ってませんでした」。10周回のハイペース逃げで、通算12度目のSG優勝。それは1~8枠の全枠コンプリートSG制覇のおまけつきだった。「3枠を選ぶのにSG全枠制覇が決め手になったのは1%くらい(笑い)。それが欲しくて3枠を取ったわけではなく、節間の雰囲気でした。スタートはあのメンバーであれだけ突き抜けられたらすごいと思いますね。スタートに関して、だいぶいいところまで来たと思う。自分なりに課題を持ってやってきた。最後の最後で結果につながったんで、やってきたことは正しかったな、と」。スタート強化を意識した22年。それが最後に実を結んだ。

すでに23年の戦いは始まっている。「今年の課題ですか? 引き続き、事故のないきれいなレースを目指していくんですけど、(昨年は)勝負どころでの強さで欠けてた部分はあると思うんですよ。記念やSG準決勝戦で3、4着とかあったから、そういうのをなくしたい。今年もまた殊勲賞をいただけるようなレースを目指していくので、応援よろしくお願いします」。ファンに向けたメッセージで締めた。

◆鈴木圭一郎(すずき・けいいちろう)1994年(平6)11月30日、東京都生まれ。浜松所属32期生。全国ランクS級1位。SG優勝はオールスター(17、21、22年)、SS王座決定戦(16、22年)、日本選手権(16、17、21年)、全日本選抜(16、18年に2度、19年)。通算優勝63度。趣味は魚釣り、車。159センチ、50キロ。血液型A。

◆殊勲賞・選考 今回も鈴木圭一郎と青山周平の「2強」による一騎打ちとなった。ともに22年はSGを2度ずつ制覇。どちらが選ばれてもおかしくない状況の中で、意見が分かれるシーンもあった。最終的には、後期適用ランクでS級1位に返り咲いた鈴木に軍配が上がった。昨年末のSS王座決定戦を制して逆転の賞金王、最多勝、そしてステータスの高い日本選手権での優出2着も高く評価された。

◆選考委員会 JKA事務所(東京都港区)で行われ、選考委員は東京レース部長沢畠功二、西日本レース部長町田達彦ら14人で構成。協賛のJKAもオブザーバーとして出席。

◆オートレース年間三賞 1988年(昭63)に創設された。1年間(1~12月)に活躍した選手を表彰する。表彰対象は原則としてSGの優勝者で、他にさまざまな記録が考慮される。JKAが協賛。受賞者には賞金と表彰状が贈られる。年間三賞はボートレース、競輪も制定されている。

・殊勲賞 SGの優勝者が対象。SGを複数回優勝するなど、最も顕著な活躍を見せた選手。その年のMVP。

・敢闘賞 原則としてデビュー5年未満の選手。優勝回数などを総合的に勘案して選出。

・技能賞 優勝レース、優勝回数、優出回数など、その年の成績を総合的に勘案して選出。

・女子特別賞 優勝回数、優出回数をはじめ、混合戦で活躍した選手を選出。