昨年10月に電撃引退した村上義弘氏(48=京都)のトークショーが8R発売中に行われた。ファンの前に姿を現したのは同10月に向日町競輪場で行われた引退報告会以来だった。

司会のヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)が「引退後の5カ月間は何をしていたの」と問うと、「家でゆっくりして妻たちと家族らしいことをしている。引退してから自転車を見るのも嫌になったし、競輪から離れたくなった」と話した。その中で、昨年末のKEIRINグランプリだけは平塚まで出向いて観戦したと秘話を明かした。

「全くのプライベートでダッフルコートを着て場内のファンと一緒に観戦しました。数人から『お兄ちゃん?』と声をかけられましたが、『違います(笑い)』って返しました」。

観戦したのは2センターのバンク際だった。

「11Rが終わってすぐにバンク際に立ってグランプリの発走を待っていました。その間、あと20分、あと10分となる時は選手たちと同じ気持ちで時間の経過を感じていました。脇本(雄太)と古性(優作)に対しては『俺が3番手を固めているぞ!』という気持ちでした。周囲に気づかれるのが嫌だったので、声を出さずにじっとレースを観戦していて、ワンツーが決まった瞬間は息が止まる思いでした。でも、ウイニングランで目の前に来た時には我慢できずに『脇本~、古性~』って絶叫してしまい、隣のおじさんから『やっぱりお兄ちゃんじゃないの』と言われました」と、会場にいたファンの爆笑を誘った

トークショーの最後に、後輩たちに望むことを聞かれると「新しい近畿の競輪を作ってほしい」と夢を託した。