古性優作(32=大阪)が史上2人目の大会連覇を達成した。GP・G1制覇は昨年6月の高松宮記念杯以来で5冠目。先行した脇本雄太の番手を新田祐大から死守し、最後は鋭く突き抜けた。

中野浩一(引退、日刊スポーツ評論家)以来34年ぶりの連覇で、昨年に続き年末のKEIRINグランプリ(GP、12月30日・立川)一番乗りを決めた。2着は直線強襲した守沢太志、3着には三谷竜生が入り、大会初制覇を狙った脇本は末を欠き4着だった。


全日本選抜・決勝でゴールに向かう(7)古性優作(1着)、(9)守沢太志(2着)、(8)三谷竜生(3着)(共同)
全日本選抜・決勝でゴールに向かう(7)古性優作(1着)、(9)守沢太志(2着)、(8)三谷竜生(3着)(共同)

執念のVゴールを決めた古性は、チャンピオンユニホームを着た脇本の真横に並び、自転車上で互いに肩を組んで喜びを分かち合った。声援を送るファンに向けて「この人をたたえてくれ」と言わんばかりに脇本に向けて両手を差し出す。自分の勝利よりも脇本の強さ、誇り高き先行に敬意を表したかった。


全日本選抜を連覇し、ガッツポーズする古性優作(左)と脇本雄太(共同)
全日本選抜を連覇し、ガッツポーズする古性優作(左)と脇本雄太(共同)

目の前のGP王者が、打鐘過ぎ2センターから発進した。決勝の大一番でも先行を貫く姿勢には感嘆するばかり。「脇本さんはこのタイトルを取ったことがない。勝てるようにと思ったら、あんなに行ってもらうとは…びっくりした」。そして「選手としての、格の違いを感じました」と繰り返した。


もちろん自身も「自在古性」の真骨頂を見せた。最終1角からイン粘りを敢行した新田相手に1発、2発と体をぶつけ合うデッドヒート。「高知は内が有利。やばいなと思ったが(前に)差し込んで回ってから対応できた」。番手を守り切ってからは、脇の下から何度もにらみを利かせて別線のまくりを封じた。近畿が誇るGPラインの力を誇示。会見前には新田と両手で握手して健闘をたたえ合った。


全日本選抜を連覇し、賞金ボードを手にする古性優作(共同)
全日本選抜を連覇し、賞金ボードを手にする古性優作(共同)

大会連覇は88、89年の中野浩一以来34年ぶりで、2人しか達成していない。優勝は意外にも昨年の高松宮記念杯以来だった。古性は「今年一発目のG1で(GP)権利を取れると、精神的に楽」と喜んだ。それでも「村上(義弘)さんがいなくなって、あらためて近畿の選手として真価が問われている」とすぐに表情を変え、精進を誓った。古性と脇本。近畿最強タッグは、今年も競輪界の中心にあり続けていく。【山本幸史】


全日本選抜を連覇し、優勝カップを手に笑顔を見せる古性優作(共同)
全日本選抜を連覇し、優勝カップを手に笑顔を見せる古性優作(共同)

◆古性優作(こしょう・ゆうさく)1991年(平3)2月22日、大阪市生まれ。小学生のころから取り組んだBMXから競輪に転向。競輪学校(現養成所)100期生として11年7月に岸和田でデビュー(予選1着、準決1着、決勝1着)。21年8月いわき平オールスター、同12月静岡GP、22年2月取手全日本選抜、同6月高松宮記念杯優勝。通算964戦290勝。通算獲得賞金は7億1037万8000円。168センチ、77キロ、血液型O。