大変身した脇本雄太(35=福井)が10度目のビッグ優勝を果たした。

近畿トリオの番手から俊敏に運んで5年ぶり2度目の大会制覇。脇本の後ろでしっかり仕事をした古性優作が2着、果敢にまくり上げた清水裕友が3着だった。


最後の開催となったガールズケイリンコレクションは坂口楓華(26=愛知)が勝利。ガールズ特別レース初Vを飾った。


花束を手に笑顔を見せる脇本雄太(左)、坂口楓華(右)、プレゼンターの鈴木奈々(撮影・鈴木正人)
花束を手に笑顔を見せる脇本雄太(左)、坂口楓華(右)、プレゼンターの鈴木奈々(撮影・鈴木正人)

最強レーサーの名を欲しいままにした脇本雄太が、復活への序章を記した。前後に窓場千加頼と古性優作を配した決勝で、鮮やかなVゴール。敢闘門へ引き揚げる際には2着の古性とともに、窓場の両肩をぽんぽんとたたいて健闘をたたえ合った。


「後輩2人がいい動きをしてくれた。感謝しています」。19年以来5年ぶり2度目の大会Vは、一昨年のKEIRINグランプリ(GP)を最後に遠ざかっていた10度目のビッグ制覇でもあった。


ウィナーズカップ決勝を1着でゴールする脇本雄太(手前左)、2着の古性優作(同右)
ウィナーズカップ決勝を1着でゴールする脇本雄太(手前左)、2着の古性優作(同右)

ウィナーズカップを制しガッツポーズする脇本雄太(中央)(撮影・鈴木正人)
ウィナーズカップを制しガッツポーズする脇本雄太(中央)(撮影・鈴木正人)

圧倒的なダッシュとスピードで敵を蹴散らした頃と違い、久々の歓喜は近畿ラインの絆と技で呼び込んだ。窓場が突っ張って先行し、古性が深谷知広や清水裕友を張る。自身はカマしてきた伊藤颯馬に切り替えて見事にかわした。


近畿ラインの力を生かそうと、目標を追う、さばく意識を強めていた。その表れが、たたき損じた北井佑季との並走をしのいだシーン。「窓場君の後輪に集中していた。並走になったら当たり返そうと。慌てずに対処できた。不慣れな動きだったが、経験として積みたい」。


賞金ボードを掲げる脇本雄太(撮影・鈴木正人)
賞金ボードを掲げる脇本雄太(撮影・鈴木正人)

年頭から位置取りにもこだわり、時には落車の憂き目にも遭った。だが、その試みが1つ実を結んだ。そして「ラインの力があれば、不調でも優勝できる」と新境地に達した。


深刻な首のヘルニアとしびれに悩み、苦しみ、ベストな体調にはほど遠い。だが、白星が何よりの良薬とテンションが上向く。「ダービー(G1日本選手権、4月30日~5月5日・いわき平)に向けて体を整えたい」。ニュー脇本の進撃が始まった。【野島成浩】


ウィナーズカップを手に笑顔を見せる脇本雄太(撮影・鈴木正人)
ウィナーズカップを手に笑顔を見せる脇本雄太(撮影・鈴木正人)

◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井市出身。科学技術高卒。競輪学校(現養成所)94期生として08年7月に福井でデビュー(予選1、準決1、決勝2)。18年いわき平オールスターを皮切りにG17勝。22年平塚グランプリ優勝。G2は2勝目。自転車競技トラック種目で16年リオデジャネイロ、21年東京五輪出場。20年世界選手権ケイリン銀。通算918戦383勝、通算獲得賞金は11億7951万8800円。180センチ、72キロ。血液型A。