なでしこジャパンが2連覇を目指す女子アジア杯が今日6日に開幕を迎え、日本は7日にグループリーグ初戦のベトナム戦に臨む。日刊スポーツでは、今月3日から本大会での活躍が期待される注目選手をプレー内外の視点から毎日1人ずつ紹介する企画「なでしこの横顔」を開始。第4回は今回の招集メンバー最年少ながら日本の最終ラインを支える新星、DF市瀬菜々(20)です。

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 見た目は、まだあどけない20歳。だが、その実績は輝かしい。女子サッカーの名門、常盤木学園高2年時の14年にU-17W杯で優勝。同3年時にはAFCU-19選手権でも優勝し、マイナビ仙台に加入した16年にはU-20W杯で銅メダル獲得に貢献した。その3大会は全て現在A代表の監督を務める高倉麻子監督が率いており、その才能を買われて17年1月にA代表初招集。同年代のMF長谷川唯(21)と共に、高倉チルドレンの一員としてチームの中核を担う存在に成長した。初めてのアジア杯へ向け「W杯がかかった大会で、そう簡単にどの試合も勝てるとは思えない。点をとられない守備ができるように頑張りたい」と意気込む。

 ベガルタ仙台レディースに所属し、普段はクラブの地元、仙台にある大手ホームセンターで働いている。接客、品出し、レジ打ちをこなし、時には木材の切り出しを行うこともある。丁寧で明るい接客に定評があるが、「結構動き回るし、立ちっぱなしなので、1年目は全身に疲労が残ることもありました」と苦労も明かす。一方で、仕事と両立することの価値も感じており「働くことで学べることもあるし、職場の人たちが楽しませてくれて勇気もくれる。サッカーとは違う関わりがあって楽しいです」と笑顔をみせた。

 世代交代を進めるなでしこジャパンの象徴となれるか。「1試合1試合を大事に。内容も日本らしく、自分のプレーで勝利に結びつけたいなと思います」。期待の新星が、アジアでの飛躍を狙う。【松尾幸之介】

 

 ◆市瀬菜々(いちせ・なな)1997年(平9)8月4日、徳島市生まれ。13年常盤木学園(宮城)に進学し、2年時U-17女子W杯、3年時U-19選手権(AFC)で優勝。16年マイナビ仙台に加入し、同年のU-20W杯で銅メダル獲得。国際Aマッチ9試合0得点。160センチ、体重57キロ。

 

 ◆AFC女子アジア杯 4チームずつ2グループに分かれ、上位2チームが決勝トーナメントへ進出。8チーム中5位までに19年フランスW杯出場権が与えられる。グループB組の日本は7日にグループリーグ初戦のベトナム戦に臨み、10日に韓国、13日にオーストラリアと対戦する。試合は全てテレビ朝日系列で生中継予定で、ベトナム戦は午後10時30分(日本時間)から放送。