【釜山=松尾幸之介】頼れるキャプテンがまたも躍動した。なでしこジャパン(FIFAランク10位)は第2戦で中国(同16位)と対戦し、FW岩渕真奈(26)の代表初となるハットトリックの活躍で3-0で快勝した。

岩渕は2得点を挙げた初戦に続く3発で大会5得点目。チームは大会2連勝とし、10年以来4大会ぶりの優勝へ大きく前進した。15日に韓国が台湾戦で勝利を逃すと、日本は17日の韓国との最終戦を前に優勝が決まる。

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東アジアの頂点へ。FW岩渕がチームを2連勝に導いた。前半9分に細かいパス交換からゴール前でボールを受けると、倒れ込みながら左足で先制。44分にはスルーパスに抜けだし、GKの頭上を越える技ありのシュートで2点目を決めると、後半10分には味方のシュートのこぼれ球に詰めた。

10年2月の代表デビュー以来、初となるハットトリックを達成。9-0で勝利した初戦の台湾戦でも先制点含む2得点を挙げるなど、今大会2戦5発と波に乗っている。前回は2トップの一角として出場したが、この日は1トップを任された。岩渕は「2点とったあとにもう1点取りたいと思っていた。ゴールは意識している部分。素直にうれしい」と笑顔をみせた。

メダル獲得を目指す来夏の東京オリンピック(五輪)へ向け、チームの完成度は高まりつつある。これで16強で敗退した6月のワールドカップ(W杯)フランス大会以降は国際親善試合2試合を含め4戦全勝18得点無失点。国際親善試合では格上とみられたカナダに4-0、そしてこの日も18年アジア大会決勝で苦しみながら後半45分の得点で1-0と勝利した中国にほとんどチャンスをつくらせなかった。「若いチームがW杯のような大きな大会を経験して、全員に勝ちたいという意識が芽生えた。W杯後に集まった時の練習の雰囲気から変わった」と岩渕。自国開催の東京五輪へ向け、チームの思いは1つになっている。

高倉監督は岩渕について「取るべき人が取ってくれた。彼女1人でサッカーをしているわけではないが、そこにいる限りは常に得点を狙ってほしい」と活躍を喜んだ。

今大会は高倉体制不動の主将であるDF熊谷が不在で、岩渕が代わりに主将を務める。「自分が下だった時は先輩が『思い切っていけ』とよく声をかけてくれていた。自分もそういう風にしていきたい」。次戦はホスト国の韓国との対戦。「これからも続けてゴールをとっていきたい」。チームの中心には間違いなく岩渕がいる。

◆岩渕真奈(いわぶち・まな)1993年(平5)3月18日、東京都生まれ。関前SCから05年日テレ・メニーナ入団。07年ベレーザ昇格。08年なでしこリーグ新人賞。同年U-17W杯でMVPを獲得し、09年U-19アジア選手権では得点王およびMVP。12-13年シーズンにホッフェンハイム、14-15シーズンからBミュンヘンに3年間在籍してリーグ優勝などを経験。17年6月からINAC神戸に移籍した。156センチ、52キロ。J3藤枝の岩渕良太は実兄。