日本(FIFAランキング28位)が、1-0でセルビア(同25位)から価値ある白星を飾った。森保一監督(52)就任後、初めて欧州勢と対戦。後半にMF伊東純也(28=ゲンク)が日本の国際Aマッチ通算1300号となるメモリアル弾を決め、ストイコビッチ監督率いる強豪に競り勝った。既に首位で進出を決めた9月からのW杯アジア最終予選へ、7大会連続の本大会出場を目指す日本にとって大きな自信となった。

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セルビアを撃破する決勝点は、韋駄天(いだてん)の右足から生まれた。後半3分、MF鎌田の右CKにDF谷口が頭でゴール前へ。大外から入り込んでいたMF伊東が、右ダイレクトで蹴り込んだ。日本が欧州勢に勝つのは、ハリルホジッチ監督時代の16年6月のブルガリア戦以来だ。

この対戦を前に「強い相手とやる方が楽しい。1対1で勝っていきたい」と決意していた伊東は「(身長は)でかい相手なので練習からフリック(1タッチでボールをそらす)して、ファーで自分と(植田)直通が詰めるのを狙っていた。うまくはまった」と喜んだ。

これが日本代表の国際Aマッチ通算1300得点のメモリアル弾。うち5点を稼ぐ28歳は「(記録は)今、初めて知った。あまり点を決めるタイプではないので、しっかり決められてよかった」。

この1点、この1勝には価値がある。FW大迫が左内転筋を痛め、合宿中に離脱した。この日、大迫の位置に抜てきされたのは170センチのMF古橋。強豪相手に持ち味の細かいパスワークより、縦への速攻を優先させた。攻撃の幅が臨機応変に広がった。

後半19分には再び、伊東が俊足を生かしカウンターを仕掛けた。伊東のクロスに、追加招集されたFWオナイウが追加点を挙げたと思われたが、オフサイドの判定になった。

森保監督は「幻のゴールになったが、いい守備からのいい攻撃。伊東が背後に抜けだし、チームの武器になる仕事をしてくれた」と評価。大迫の穴は簡単に埋まらないが、2列目の南野、鎌田、伊東の3人はよりパワーアップしてきた。

今回の代表は3週間以上に及ぶ。新型コロナ対策のため、従来通りに移動やホテルでは欧州組と海外組に分けられ、日常の会話も簡単ではない。ただ、練習場に出れば、過去3大会W杯に出場した34歳DF長友を中心に輪ができる。

「Jリーグでも点を取ってる外国人選手は、ゴールへ向かう軌道は日本人とまったく違う。先を意識したポジショニングをしないと」と長友。何げないベテランの発言に、古橋ら経験の浅い選手が吸い寄せられていき、攻撃の活性化へとつながっている。

ストイコビッチ監督との往年のJリーグ・スター対決となった森保監督は「いい刺激になった」と感謝した。過去最高のW杯ベスト8を実現するには、セルビア以上の強豪に勝たなければいけない。森保日本が貴重な経験を積んだ。【横田和幸】