“シンデレラガール”が2戦3発と輝きを見せた。なでしこジャパン(女子日本代表、FIFAランク13位)が同ベトナム代表(同32位)に3-0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。

【女子アジア杯】なでしこ3発連勝!ベトナム圧倒、成宮2発/ライブ詳細>

初戦で代表初ゴールを決めた成宮唯(26=INAC神戸)が、前半38分にこぼれ球を押し込み先制ゴール。後半13分にもダメ押し点を決め白星をもたらした。次戦は1位通過をかけた27日韓国戦。続く30日の準々決勝で勝利すれば、23年W杯出場権を獲得する。

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チャンスを逃さなかった。前半38分、DF高橋の左からのロングキックをGKがはじくと、成宮はこぼれ球を左足で押し込んだ。

「崩してきれいな形ではなかったですけど、相手の隙を逃さず、自分の良さでもある抜け目ないところが発揮できた」

相手の徹底的な守備から先制点を奪うと、2-0の後半13分には左コーナーキックから再びこぼれ球に合わせた。ゴールへのこだわりは光り続けた。

開幕前まで代表出場は1試合のみ。21日のミャンマー戦で代表初ゴールを決めると、2戦3発と勢いに乗る。「何が何でもチームの結果に、得点の部分で自分自身が貢献するという目標を持ってここにきた」。もう逃げない。原点は約9年前。10代の時の記憶だ。

高校卒業後、ベガルタ仙台に入団するも半年で退団。「なかなかうまくいかずに逃げてしまった自分がいた。移籍半年でチームを変えてしまったことが一番の挫折というか、分岐点になった」。目の前の壁に向き合えなかった後悔。今も消えないからこそ、必死に自分を見つめ、努力を続けてきた。

高校時代から世代別代表でプレーし、ずっとなでしこにあこがれてきた。「勝ち上がっていくにつれて相手も、どんどん強くなっていく。そこで自分がどこまでできるかが、この先自信につながるのかなと思います」。まだまだ自分には満足しない。挫折を乗り越えたシンデレラガールが、大舞台でさらに輝きを放つ。【磯綾乃】

◆成宮唯(なるみや・ゆい)1995年(平7)2月22日、京都府生まれ。JFAアカデミー福島から、13年にベガルタ仙台入団。同年9月に大阪高槻に完全移籍。17年から市原・千葉レディースに加入し、なでしこリーグカップ1部優勝。21年からINAC神戸でプレー。11年のU-16アジア杯では主将を務め、大会優秀選手に選出。翌年のU-17W杯にも出場した。154センチ44キロ