「ヤングなでしこ」がワールドカップ(W杯)連覇へ王手をかけた。U-20女子日本代表が王国ブラジルに2-1で競り勝ち、決勝進出を決めた。1-0から追いつかれるも、FW浜野まいか(18=INAC神戸)が後半39分に決勝ゴール。今大会と同じ池田太監督(51)が率いた前回18年大会以来の頂点を目指し、28日(日本時間29日)の決勝ではスペインと対戦。連覇すれば同大会史上初の快挙となる。

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決勝ゴールが決まった瞬間、浜野は泣きじゃくった。涙で頬をぬらしながら、両手を目いっぱい上げてガッツポーズした。「前半からいいプレーができていなかったから、自分が点を取って勝たないとと思っていた。点を取れてうれしかったです」。

前半30分にFW山本のゴールで先制したが、簡単には勝たせてくれない。後半は完全にブラジルペース。同10分に同点に追い付かれ、再三の猛攻を全員で守った。「取られても取り返せるというみんなの強い気持ちがあった」と浜野。米国、フランスと強豪を破ってきた経験は自信になった。

同39分。山本が相手DFに囲まれながらも、粘って浜野にパス。右足のループシュートでゴールネットを揺らした。戦い続けた姿に、池田監督は「最後までハードワークして、しかもチームを助けるゴールを挙げてくれた」とたたえた。

圧倒的な運動量を誇る18歳のストライカーは、すぐに見つけることが出来る。ショートカットの髪形に、ユニホームのシャツの裾をパンツに入れ込む“シャツイン”がトレードマーク。小学生の頃から続ける理由は「邪魔だから」。C大阪堺レディース時代は背中にスポンサーロゴがあったが、前だけは入れ込んだ。ピッチを存分に駆け回るための“こだわり”だ。

この日の試合後インタビュー。「まず、戦ってくれたブラジルに感謝したいです」。相手へのリスペクトを口にすると、最後は「グラシアース!」とスペイン語でおちゃめに締めた。サッカーを楽しみながら戦えることも、このチームの大きな強みだ。

大会史上初の連覇をかけて戦う相手はスペイン。前回18年と同じ顔合わせとなった。「スペインもサッカーがとてもうまい国。しっかり日本のサッカーを出し切って世界一になりたい」。ヤングなでしこの強さを、まだまだ世界に見せつける。【磯綾乃】

◆FIFA主催の世界大会決勝 国際サッカー連盟(FIFA)主催の世界大会で女子は3つのカテゴリー全てで日本が優勝している。なでしこジャパンが11年W杯ドイツ大会、年代別代表も14年U-17W杯コスタリカ大会、18年U-20W杯フランス大会を制した。日本男子が決勝に駒を進めたのは99年ワールドユース(現U-20W杯)ナイジェリア大会、01年コンフェデレーションズ杯日韓大会、21年ビーチサッカーW杯ロシア大会で、いずれも敗れている。クラブチームによる世界大会、FIFAクラブW杯では、鹿島が16年の日本開催で準優勝している。