日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が、今日5日に19年目の開幕を迎えるJリーグに向け、「ザックの提言」を送った。4日、東京・文京区のJFAハウスで取材に応じ、日本サッカーの基盤となるJリーグに対して「意外性のあるプレーを増やす」「各クラブの戦術的特徴の確立」「若手の成長の必要性」の3つを提言した。

 柔らかな表情、ゆったりとした口調で19年目のJリーグに提言を送った。ザッケローニ監督は「日本サッカーをさらに速く、読みづらくなるように向上させていければいい」と話し、次のように続けた。

 ザッケローニ監督

 読みづらいというのは意外性。意外性とは、プレースピードを上げることで相手に(プレーを)読ませないという部分があります。

 世界最高峰のセリエAを熟知する指揮官の言葉は明確だった。日本代表メンバーにも常々求めてきたプレースピードの向上を、Jリーグにも要望した。パス、トラップから次のプレーへと移る動作、瞬時の判断、時にはパスの本数を減らして一気にゴールに迫る姿勢…。すべてをスピードアップさせることで、相手の読みや反応を上回れば、一気に試合の流れをつかむことができる。パスサッカーが日本の持ち味だが、「速さ」の向上が「世界水準」につながると考えた。

 提言は続き、各クラブが独自性を確立する必要性を説いた。「みんなが同じサッカーをせず、各クラブが違った特徴を持ってやっていく。それにより日本サッカーの引き出しが増えるのではないか。違った戦い方のチームが出てくると、選手の成長もうながす」。華麗なパス回し、カウンター、1点を守りきる堅守、超攻撃的布陣…さまざまな色を持つクラブが増えれば、日本サッカー全体の幅が広がる。

 12年ロンドン五輪、14年W杯ブラジル大会を目指す上で欠かせないのが若手の成長だ。「若手の台頭を代表監督としては願う。高卒や大卒の選手が経験を積んで欲しい。代表への門戸は開かれている」。助っ人外国人や代表クラスと若手が定位置を争い、鍛えた先には代表がある。その若手を育成するのはJリーグ。「海外組が増えたが、日本サッカーのベースはJリーグにある」。日本が14年W杯ブラジル大会で優勝争いに加わるためにも、ザッケローニ監督はJリーグ発展を切望する。【菅家大輔】