ヤングなでしこは今日4日、初のメダル獲得に向けて、U-20(20歳以下)女子W杯の準決勝でドイツ(国立)に挑む。3日は都内で練習を行い、1次リーグ初戦から準々決勝まで4戦連続得点を決めているMF田中陽子(19=INAC神戸)が、得点王の奪取を宣言。ここまで無失点のドイツを相手に、日本代表MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)をほうふつさせる“無回転FK”でゴールに挑む。

 試合前日の緊張感を楽しむかのように、笑顔を振りまいていた。田中陽は準決勝ドイツ戦を前に、スタッフと笑顔で会話しながらグラウンドを後にした。チームバスに乗り込むときも、サポーターとの写真撮影に応じて笑顔でピース。「今、感覚がすごくいいんです。自分がどこにいればゴールが入るか分かる。こうなるだろうなって、予想ができるんです」と余裕を見せた。

 ピッチに入ると、表情は引き締まる。1次リーグの初戦から4試合連続で計5得点を決め、得点ランクは2位タイ。同じ2位タイのドイツFWロッツェンとの直接対決に闘志を燃やす。「一緒のピッチに立ったら、負けたくない。意外と5点とっているし、今は得点王を狙うチャンスだと思う」と明かした。

 準々決勝の韓国戦では、男子代表のエース本田を思わせる無回転FKを披露した。ゴールまで約25メートルを右足で直接狙った。ゴール右へ大きく外れ、「失敗しちゃいました」と話していたが、実はドイツ戦で再度チャレンジする機会を狙っている。

 無回転FKを蹴る女子選手は多くない。姉貴分のなでしこジャパンでもFW大儀見やMF宮間ら一部のみ。さらに田中陽には先輩にもない強みがある。左右両足でFKを蹴ることができる上に、ここまでのトレーニングで強烈なキック力を身につけた。中高6年間所属したJFAアカデミー福島で、キック力を伸ばすための専門的な筋力トレーニングを行っていた成果だ。

 ドイツの守備は堅く、ここまで無失点を誇る。その守備を切り裂くにはセットプレーが大きなチャンス。中でも直接FKは最大の武器になる。「(無回転を)蹴れるチャンスがあったら、狙っていきたいですね」と話した。

 ここまで試合前日の宣言通りに得点を決めてきた。この日は「次は『得点王に近づくように1点は決める』でお願いします」と宣言。田中陽の勢いはまだまだ止まらない。【保坂恭子】