【バンコク(タイ)6日=由本裕貴】敵の不穏な動きに惑わされず、マックスパワーで勝つ。日本は今日7日、1次リーグ最終戦リビア戦に臨む。6日は試合会場のインドアスタジアム・フアマークで公式練習を行ったが、リビア代表が急きょ公式練習をキャンセル。敵の戦意喪失とも思える事態にも、三浦知良(45=横浜FC)は「勝てそうだと思うこと自体おかしい」と、安易な発想を封印。決勝トーナメント進出へ、全力でリビアに挑む。

 まさかの展開だ。日本が約1時間の練習を行ったこの日、リビアも同じ会場で調整する予定だったが、選手団は姿を現さなかった。初戦はポルトガルに1-5で負け、2戦目はブラジルに0-13で大敗。1次リーグ突破の可能性があるグループ3位以内に入るには、日本に勝つしか道は残されていない。にもかかわらず、試合コートの状態チェックなど、重要な意味を持つ公式練習を取りやめ、バンコク市内の宿舎で休養した。リビアのハビブ団長は「疲れもあるし、ブラジルに負けて選手はガッカリしている」と明かした。

 リビアでは昨年、長年国を統治してきたカダフィ政権と反体制派による内戦が勃発。昨秋にカダフィ大佐が殺害されるまで国内は混乱状態にあり、フットサル代表も2年近く活動できなかった。いまだ情勢は不安定で、今大会に向けた準備期間も3カ月。選手構成は革命前とほとんど変わらないが、ブランク期間が長いため本来の力が発揮できないようだ。

 「白旗宣言」とも思える敵の不穏な動きにも、日本は決して油断しない。相手は08年のアフリカ大会王者。日本が09年夏にリビアに遠征し、親善試合を2試合行った際も、初戦で6失点するなど1分け1敗だった。そのこともあり、カズは「日本は向こうで勝てなかったらしいですからね。油断する理由は見当たらない。勝てそうだと思うこと自体おかしい」とキッパリ。「リビアの政治的なことや環境のこととかは分からないけど、自分たちが何をするかが大事。ポルトガル戦以上にやらないとダメだと思う」と、最大限の力で勝利を目指すことを誓った。

 3位でも、他のグループの結果次第で初の決勝トーナメント進出の可能性が十分にある。ただ勝ち点3だけをもぎ取り、日本フットサル界に革命をもたらす。