<アジア杯:日本2-0ヨルダン>◇1次リーグD組◇20日◇メルボルン

 無我夢中で喜んだ。MF香川真司(25=ドルトムント)が、代表では昨年のW杯直前6月6日のザンビア戦以来228日ぶりのゴール。試合を決定付ける追加点で、クロスを上げた武藤に満面の笑みで抱きついた。みんなに頭をたたかれても笑顔は消えず、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に輝いた。

 苦しみから脱却するゴールは後半37分だった。左サイドから中を見る武藤の視界に入った。ヨルダンDFのまたの下を抜く低空クロスを右足で合わせる。ヨルダンGKの正面へのシュートは、はじかれながらもゴールに吸い込まれた。「うまくタイミングを見計らっていた。今日もなかなかなかったけど、武藤がまたを狙ってうまく入れてくれたことに感謝しないと。みんなもすごく喜んでくれてうれしかったですね」。

 日の丸を背負っての得点は、自身最長8試合のブランクがあいた。19歳で代表デビューし、66試合目での国際Aマッチ通算20得点は史上2番目に遅い達成だ。「取れない悔しさはあったけど、それだけじゃないと、自分の中では思っていた。そこまでナーバスではなかったですけど。ただ攻撃の選手は前で証明しないといけないのでね」。MOMの表彰を終え、歓喜に沸くスタンドに向かい深く一礼。ピッチから去り際には、本田からハイタッチで祝福を受けた。やはり10番が決めるとチームも活気づく。

 W杯出場に王手をかけた13年3月のアジア最終予選、アウェーのヨルダン戦。1-2で敗れると、相手選手がユニホーム交換した日本の10番を着て、首切りポーズで挑発を繰り返した。しかし屈辱の記憶は過去のもの。対ヨルダンは3戦連続ゴール。結果で借りを返した。屈辱にまみれた姿は、もはやない。準々決勝を前に、日本の10番が復活した。【栗田成芳】

 ◆香川が国際Aマッチ通算20ゴール

 日本代表史上11人目。出場66試合目での到達はMF中村俊輔の73試合目に次いで2番目に遅かったが、25歳10カ月での達成はFW釜本邦茂の23歳5カ月、FW岡崎の24歳9カ月に続く歴代3位の年少記録となった。