日本代表の主将、MF長谷部誠(31=フランクフルト)が自戒の念を込めつつ、日本サッカー界に警鐘を鳴らした。27日、所属クラブに合流するために羽田空港から渡欧。昨夏のW杯惨敗に続き、アジア杯オーストラリア大会も準々決勝敗退を喫した現状に強い危機感を表した。若手のさらなる突き上げの必要性、永遠のテーマといえる決定力不足を解消するための個人能力の向上など、日本の課題を口にした。

 アジア杯敗退の悔しさ、強烈な危機感。日本の主将の言葉は、普段以上に重く響いた。「W杯と違って今回はアジアの大会で敗れた。そういう意味では非常に情けない。落胆する気持ちが強い。W杯で皆さんを失望させてアジア杯でも失望させた」。そこには、自戒の念が強く込められた。

 2連覇がかかったアジア杯準々決勝のUAE戦ではシュート数で35-3と圧倒しながら、PK戦にもつれ込まれ敗退した。課題の決定力不足を露呈しただけに「決めきれないのが敗因。最後のゴールを決めるのは個の部分。決めきれないのは選手の責任。自分で個の部分を伸ばしていかないと」と反省を口にした。

 「サッカー界は競争社会」。以前から口にしている世代交代の必要性も痛感した。アギーレ監督就任後からアジア杯にかけてFW武藤、MF柴崎ら若手が結果を残してきたが「若い選手が出てきて経験を積んだけど、まだまだ若い選手の突き上げが足りない。もっともっと若い選手に出てきてもらわないと」と言う。

 日本人の素早さ、高い技術を生かし、小気味よくパスをつなぐ「日本らしさ」をザッケローニ体制時から追求してきた。ただ、W杯、アジア杯という重要な大会で結果は出なかった。「日本サッカーがどう進まないといけないのかを考えないといけないと思う。どうして結果が残せなかったか、真摯(しんし)に自分と向き合わないと。選手も日本協会も考えないといけない」と警鐘を鳴らした。

 「育成年代の代表が勝てていないのは、A代表の選手の中でも話になっている。育成年代の改革のようなことにもつながってくる」。その視線は日本代表、さらには日本サッカー全体を見据えている。「これ(失望を与えた事実)を取り返すにはサッカーしかない。立ち止まることはできない」と強い責任感で、日本の再浮上への道のりをけん引する。【菅家大輔】