新潟LはINAC神戸に2-1で逆転勝ちし、今季初白星を5460人のサポーターの前で決めた。1-1で迎えた後半6分に、リーグ戦初先発したFW高橋美夕紀(23)が勝ち越しゴール。2年目の高橋にとって、なでしこリーグ初ゴールが勝利をたぐり寄せる値千金のゴールになった。

 ボールに向かって、高橋は右足を前方に投げ出した。ゴールを確認すると、芝生から立ち上がって両腕を突き上げながらメンバーのもとに駆け寄っていく。1-1で迎えた後半6分。チームにとって貴重な勝ち越しゴールが、なでしこリーグでのうれしい初得点になった。「すごい応援の中で決められて…。決めた瞬間に沸く感じが最高でした」。Jリーグの新潟-FC東京戦とのダブル開催。5460人が見つめるピッチでチームを今季初勝利に導いた。

 高橋が「あれがあったから(勝ち越しゴールが)入った」と振り返るシーンがある。前半5分の場面だ。ゴール前のシュートチャンスに、振り抜いた右足は豪快に空振り。リーグ初先発の「緊張はなかった」と話したが、凡プレーが逆に初先発の重圧から解放されるのに役だった。辛島啓珠監督(45)も「空振りがあったから、吹っ切れたのでは」と話した。

 新潟Lは前節までリーグ戦3試合を終えて2敗1分けだった。3試合無得点で得点力不足に陥っていた。そんな状況を打開するために、辛島監督は高橋を先発に抜てきした。「点が取れていなかった。点がほしいと(高橋)美夕紀を使った」。指揮官の思惑が当たって、勝ち越しゴールが生まれた。高橋は「ゴールのことしか考えていなかった」とうれしいリーグ初ゴールに笑顔を見せた。

 新潟医療福祉大在校時の15年にプレナスチャレンジリーグで14試合、12得点した点取り屋。同年にユニバーシアード代表に選出されている。今季のリーグ出場は前節の日テレ戦の後半23分からの途中出場だけだったが、この日の活躍で出場機会は増えるはず。高橋は「チームに欠かせない存在になって出場した試合は全部、得点を決めたい」と意気込んだ。【涌井幹雄】