反骨の指揮官、東京ヴェルディの城福浩監督(65)が鋭い目をギラつかせた。
開幕から4試合勝ち星がない。前節の鹿島アントラーズ戦ではチームの大黒柱のMF森田晃樹が足を負傷。エースの染野唯月も相手選手との競り合いで頭部を打ち、脳振とうの疑いで離脱した。飛車角落ち。スコアこそ0-2だったが、ぐうの音も出ない完敗を喫した。
31日、東京・稲城市でのトレーニング後、次節ヴィッセル神戸戦(9月2日・味スタ)に向けてメディア対応した。厳しい状況が続く中、今の思いや取り組みについて熱く語った。
「攻守においての自分たちの失っちゃいけないものを目指すものっていうのは、これは神戸戦に限らずで、ここをスタートという言い方はおかしいですけども、くじけずにやりたいっていうのと。それでも、オウンゴールでもなんでもいいんで、神戸戦は勝ち点をやはり取らなきゃいけない。そこは我々のファイティングポーズってのは、どんな状況でも取らなきゃいけないというふうに思います」
負傷した森田は暫く欠場の見通し。染野の出場も「明日やってみないとまだなんとも言えない」。ただ可能性はゼロではないという。
そんな中、チームは改めて自分たちが大事にするスタイル、攻守に走りチームとしてエネルギーを最大化するサッカーをトレーニングで見つめ直した。
「修正点とか我々のコンセプトを貫くっていうところはしっかり確認しましたし、課題というか乗り越えたい部分っていうのは攻撃面で多々あるんでね。ここに関しては属人的なもので今まで解決してきたものが、そうじゃない状況があるのであれば、グループとして何を徹底するかっていうところは今日も確認しましたけども。残り明日1日でどれぐらいできるかが勝負なのかなと」
いつものように試合を何度も見返している。鹿島戦を振り返り、「後半の入りから飲水タイムまでの25分ぐらいは、それはもうお金を払って来てくれた人には本当に申し訳なかった。自分が見返しても恥ずかしいというか、選手にあんなにボールに行かせられなかった自分がちょっと情けなくなるぐらい、見返すのが苦しい試合でした」。
だからこそ、あらためてファイティングポーズを取ることを、チームで確認し合った。
「一番高い席がどれくらいなのか、僕はパッと言えないですけど、本当にその人たちがまたそのお金を払って来ようと思う試合ができたのかっていうと、そうではない。その後半の25分間っていうのは。感情的に言ってもしょうがないので、なぜそうなったのかというところと、この状況を打破するためにはどんなアクションが必要だったのか。立ち位置の整理は今日しましたけど、立ち位置だけじゃないじゃないですか。それが(相手ボールに対し)10度追いする選手がいてもおかしくないんですよ。もう2点取られているので、そこの我々のロジカルな構え方と心の構え方は、本当に自分が目指してきたチームとはちょっと程遠い25分間ったので。メンタルのところと戦術的なところは伝えました」
ここまでの苦しい台所事情は言うまでもない。そこへ東の横綱・鹿島に続き、今度は西の横綱を迎える。
ここであっさり勝ち点をまた失うのか。それともここで踏ん張るのか。
ただ苦境に陥れば、それが燃料となり、希代の指導者「JFK」の反骨心は火をともす。むしろ最も真価を出せる状況のようにも映る。
非公開練習ゆえに姿は見えないが、実際グラウンドから響いてくる声は普段以上に大きなものだった。選手たちのリバウンド・メンタリティーも働きやすい今だからこそ、鉄は熱いうちに打て、である。反骨の言葉がより染み入るところではなかろうか。
そんな見解をぶつけると、城福監督はせきを切ったようにこう回答した。
「これがね、どう捉えられるか分かりませんけど。弱者のサッカーなのか、強者のサッカーなのか。弱者のサッカーをしたって勝ち点を取れれば、このクラブの現実的な目標で言えば、残留できればそれは勝者なんですよ。じゃあ弱者のサッカーを目指すのかと。じゃあこのクラブが何を大事にしてきて、紐解けば30年以上の歴史がある中で、何にモチベーションが上がんのかっていうのは、僕はよく理解しているつもりなんで。ただただ勝ち点だけを取るためだけのサッカーが、このクラブにふさわしいのかと。そうは思ってない。ただ、そんなきれい事じゃ勝ち点は取れないんで、我々の覚悟と彼らの覚悟を合わせていかないと、目指すものなんて目指せないし、崩れ去るんですよ。彼らのモチベーションが上がったからそれでいいかって、あとはすべては勝ち点取れるかどうか。きれい事言って、目指すものを言って活気があったとしても、勝ち点を取れなかったら何の意味もない。試合まで全員で覚悟を持って、勝ち点を取るためにやりたいというふうに思います」
選手たちの覚悟が見えたのでは?
そう返すと「今日で彼らの覚悟が見えなかったら何もないですよ」。
ギラついた目が見たのは一筋の光なのだろう。ただ勝ち点がすべての勝負の世界。神戸戦を終えた後、その目は再び光を宿しているのか、その結末が待たれる。【佐藤隆志】



