全国各地から19のクラブがJ3参加に名乗りを上げた。その半数以上がJ1、J2のクラブのない県のチームだ。J1やJ2でも経営環境は厳しく、今後の見通しは楽観できないが、地域や自治体が一体で将来的に「J1を目指す」という夢を共有できる意味は大きい。「J空白県」が埋まることは「全国で100クラブ」を目指すJリーグの構想とも合致する。

 奈良クラブの矢部次郎ゼネラルマネジャーは、現状を「サッカーをする子どもたちが憧れるような場所が県内にはなかった」とし、J3参加をきっかけに「それを変えたい」と期待した。Jリーグの「ブランド力」を利用し、地域のサッカー環境を活性化したいという思いがのぞく。

 東日本大震災の爪痕が色濃く残る地元のために、目標を前倒しして申請した福島ユナイテッドの鈴木勇人社長は「子どもたちが夢や希望を見いだしにくい状況なので、われわれが挑戦することで福島に元気を与えることができれば」と参加の意義を説明した。今もユニホームの胸スポンサー獲得に奔走する同社長は「大変なのはこれから」と険しい道を覚悟した。