イランが6回目の出場で初の決勝トーナメント進出へ復活を遂げた。グループリーグ第2戦のウェールズ戦で、アディショナルタイムでの2得点で2-0と勝利。第1戦でイングランドに2-6と敗れた敗退危機から一気によみがえった。

ジャイアントキリングを達成したサウジアラビア、日本に続いた。プレミアリーグで活躍する選手中心のウェールズに一歩も引かない戦いで試合を支配した。「この試合は我々が立ち直るチャンスだった」とケイロス監督。その言葉通り、相手に飲まれていたイングランド戦とは見違える動きを見せた。

前半16分にはFWアズムンがゴール前に迫り、パスを受けたMFゴリザデがゴール。先制点かと思われたが、オフサイド。後半6分には、アズムン、ゴリサデのシュートが立て続けにポストにはねかえされた。圧倒的に攻め続けると、後半41分には、前線へ抜け出したFWタレミが相手GKヘネシーと接触。VARでヘネシーにレッドカードが出された。

10人となった相手に、アディショナルタイムが9分。後半53分に、相手DFのクリアボールをDFチェシュミが豪快に蹴り込み先制。さらに3分後には、DFレザイアンが勝利を決定付ける2点目を決めた。

国内では、女性が髪を隠すために使うヒジャーブをつけなかった女性が秘密警察に拘留された後に死亡したことで、反ヒジャーブ運動が拡大。これに呼応する形で、第1戦では人権問題で政府へ国歌を歌わず抗議。この日は歌ったが、国内で抗議活動の象徴となった元代表選手が逮捕されるなど、圧力は強まっている。厳しい状況を一丸となって欧州チームを打ち負かすことで、国内で政府と戦う国民に勇気を与えた。ケイロス監督は「私たちは帰ってきた。我々のプレーは勝利に値した」と話した。