カナダはクロアチアに1-4で敗れ、2戦目にして1次リーグの敗退が決まった。だが、1996年以来36年ぶり2度目の出場で、ワールドカップ(W杯)初得点を挙げるなど、同国のサッカー史に新たな1ページを刻んだ。

その中心にいたのは、22歳の絶対的エースFWのアルフォンソ・デービス(22=Bミュンヘン)だった。前半2分、FWブキャナン(23=クラブ・ブリュージュ)の完璧なクロスに合わせ、豪快なヘディングシュートを決めた。ドーハの空高く跳び上がったデービスの姿に、スタジアムに陣取った北米サポーターは歓喜の渦に包まれた。

デービスは2000年に、ガーナの難民キャンプでリベリア人の両親の間に生を受けた。5歳時にリベリアの内戦を逃れるためにカナダに移住。15歳でユナイテッドサッカーリーグ(USL)でプロデビューを果たすと、めきめきと頭角を現し、19年に当時の史上最高額となる移籍金2200万ドルでBミュンヘンへ加入した。

英国の報道によると、アーセナルで黄金期を築いた元イングランド代表DFのマーティン・キーオン氏は、ウェールズの英雄ベールと重ね「本当にすごい。彼のような選手が2、3人いれば勝てる」と高評価。国民的スターで、テレビにも引っ張りだこだという。

カナダは初得点後、前回大会準優勝国の底力に圧倒され、4失点。逆転負けで、1次リーグ突破は夢へと消えた。それでも、無念の3戦無得点全敗で終わった初出場の89年から、歴史をアップデート。ハードマン監督は「母国で育った若い選手たちが競争することができることを示した。(次回大会の)26年に向けて、自分たちが正しい方向に向かっていると信じられる」と、胸を張った。

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