メキシコ代表FWイルビング・ロサノ(22)が世界王者を文字通り震撼(しんかん)させた。ワールドカップ(W杯)初戦のドイツ戦。前半35分に右足でゴール左に強烈なシュートを蹴り込んだ。メキシコはそのまま堅守で逃げ切り、1-0の大金星を挙げた。このロサノのニックネームが“ホラー系”でふるっているのだ。

 これまでも怖い感じのあだなはいくつかあった。かつてマンチェスターUで活躍したFWオーレ・グンナー・スールシャールは「童顔の殺し屋」。ビルバオや元スペイン代表でプレーした屈強なDFアンドニ・ゴイコエチェアは「ビルバオのブッチャー」。J1神戸入りしたスペイン代表MFアンドレス・イニエスタは「エル・ファンタスミタ(幽霊)」。ボリビア代表で活躍したマルコ・エチェベリは「エル・ディアブロ(悪魔)」。

 そしてロサノのニックネームが「チャッキー」。あのホラー映画「チャイルド・プレイ」に出てくる人形の姿をした殺人鬼の名前なのだ。なぜチャッキーかというと諸説あるようだが海外メディアの話を総合すると、子供のころからいたずら好きだったロサノ少年は、バスの中やベッドの下などに隠れチームメートを驚かせることが多々あった。びっくりした仲間の誰かが「チャッキーが現れた!」と叫んだところから命名されたようだ。

 早くもインターネットサイトなどでは「メキシコで最も恐ろしいプレーヤーがあなたの国の代表を狙っている」などとホラー映画さながらの記事が躍っているが、実際のロサノはもっと地に足の着いた人物。18歳でアナ夫人と結婚、すでに2人の子供がいるという。アナ夫人がロサノについて気に入っているところは「いつも笑っているところ」なのだそうだ。

 そんな好青年のロサノだが、今後もピッチの上でだけはチャッキーに変身することを期待したい。そうなれば他国を震え上がらせること間違いなしだ。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)