<ブンデスリーガ:ドルトムント3-1ザンクトパウリ>◇25日◇ハンブルク

 ドルトムントMF香川真司(21)が、またゴールを決めた。ザンクトパウリ戦の後半5分、MFマリオ・ゲッツェ(18)の折り返しに合わせて、右足でゴールに流し込んだ。絶妙の浮き球パスで先制点をアシストしたのに続き、2得点に絡む活躍。チームを勝利に導くとともに、圧倒的な存在感をみせた。リーグ戦6試合で4ゴールとこの時点で得点ランク3位タイに浮上、チームも5連勝で2位の座を守った。

 1-1で迎えた後半5分だった。MFゲッツェが右サイドを突破すると、香川は迷うことなくゴール前に詰めた。ゲッツェからの折り返しを冷静に右足で合わせた。ボールは相手GKの伸ばした手をすり抜けて、ゴール左隅に吸い込まれた。相手に傾きかけた流れを一気に引き寄せる1発。チームメートの祝福を浴びて、笑顔がはじけた。

 敵地に乗り込んで迎えたザンクトパウリ戦も、香川が攻撃の中心だった。前半17分にはFWバリオスのパスで右サイドを抜け出し、ゴール前に浮き球で絶妙の折り返し。MFグロスクロイツの先制ヘッドが、リーグ戦初アシストとなった。その後も香川を軸に攻撃陣が躍動。1度は追いつかれたものの、再び香川の力で突き放した。

 W杯にも出ていない「無名の日本人」が、今やドイツ中で知られるスター選手になった。リーグ4得点は世界のストライカーを抑えてランク3位タイ。MFではトップの得点力だ。リーグを代表する攻撃スターとなった香川には、ドイツ国内で「セリエAの3強(ACミラン、インテルミラノ、ユベントス)に狙われている」といううわさも流れる。

 FWバリオスを1トップにし、中盤から次々と選手が飛び出していくのがチームのスタイル。「すごくやりやすいし、楽しい」と香川は言う。首位マインツがBミュンヘンに勝ったため、02年5月4日以来3066日ぶりの奪首はならなかった。それでもサポーターは若い攻撃陣に、9年ぶりのリーグ優勝を期待する。

 香川には、プレーに集中できる理由もあった。7月11日にドイツ入りして以来ホテル住まいだったが、ようやく住居が決まった。母広美さん(50)と姉麻美さん(23)がドイツに来て引っ越しを手伝ってくれた。

 「小さいころから朝はパンでなくお米だった」(広美さん)香川のために、炊飯器も届いた。これまではベンツを運転して日本人街のあるデュッセルドルフまで日本食を食べに行っていたが、これからは気兼ねなく米を食べて体力を養える。

 「こんなに多くの金髪美女を見たことがない」と話し、ビールとソーセージもお気に入り。「あとはドイツ語を覚えれば、もっと充実したプレーができる」と話す。わずか1カ月半で、香川の市場価値は350万ユーロ(約3億8500万円)と当初の10倍に跳ね上がったという。「何が何でも成長したかった。だからドイツに来た」という香川は、着実に成長している。

 [2010年9月26日8時37分

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