60年ぶり2度目の優勝を目指すイングランド(FIFAランキング4位)が、前回3位のクロアチア(同11位)を4-2と下した。FWハリー・ケイン(32=Bミュンヘン)が2得点を挙げW杯通算10点目。リネカーの持つイングランド代表最多得点に並んだ。力強い攻守を見せての快勝。スウェーデン人のエリクソン監督、イタリア人のカペッロ監督に続く3人目の外国籍指揮官、ドイツ人のトーマス・トゥヘル監督(53)に率いられ、1966年以来のW杯制覇へ好スタートを切った。

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試合前の国歌斉唱。トゥヘル監督はいら立っていた。嵐のようなフラッシュの砲撃を受けていた。「この瞬間を待ちわびていた。特別な瞬間だったのに50人ものフォトグラファーの壁の前に立っていた。自分のチームの選手を1人も見ることができず、台無しになった」。自身初のW杯とあって気持ちを高揚させたかった。「FIFAに懇願したい。国歌の時のフォトグラファーの位置を変えてもらいたい」と苦言を呈した。

チームも同様だった。前半は苦戦した。ケインが早々にPKで先制したが、30分に失点した。42分にケーンがCKから打点の高いヘディングで勝ち越したが、追加タイムのラストプレーでまた追いつかれた。そのロッカールームで、トゥヘル監督は選手たちに熱くゲキを飛ばした。ケインが言う。「ハーフタイムに監督は『いいか、負けるとしても、自分たちの負け方をするんだ』とスピーチしてくれた。後半の我々のプレーを見ればそれが分かるだろう」。ムードは一変した。

後半早々の2分、ベリンガムが右から抜け出すと、そのままゴール前まで持ち込み勝ち越し点を決めた。こうなるとイングランドの展開だ。途中から出てくる選手はみなトップレベル。4点目はサカのパスからラッシュフォードが巧みなステップを踏み、相手をかわして右足で蹴り込んだ。

ドイツ人指揮官が持ち込んだのは、力強さと効率性。ピッチに「10番」は1人しかいらない。ベリンガムで十分だった。天才パーマーも、神童フォーデンも落選した。リアリストたちはプレスで力づくでボールを奪い、ゴールへ急襲する。デュエル勝利は前半の33%が後半は73%に上昇。シュート数も22対10と圧倒し、スコア以上の完勝だった。

トゥヘル監督は「前半から後半へよく立て直してくれた。とても感動的だった」。嵐が去った後の太陽のように表情を輝かせた。

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