日本(FIFAランキング18位)がブラジル(同6位)に1-2で屈した。前半29分にMF佐野海舟(25=マインツ)が先制点を奪ったものの、後半11分に同点とされると、後半アディショナルタイムの50分にFWマルティネッリ(アーセナル)に決勝点を奪われた。

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ほんの数ミリの差だった。GK鈴木彩艶(23=パルマ)は必死に手を伸ばした。後半追加タイム5分。触れたボールは、ポストに当たったが、ゴールの中に転がった。逆転負け。笛を聞き、正座して、うつむいた。世界に届かず「失点シーンで、自分が何かできた」と己を責めた。ただ、彩艶がいなければ-。きっと、ここまでは来られなかった。

初のW杯。何度もチームを救った。初戦オランダ戦で10本、第3戦スウェーデン戦では11本のシュートを浴びた。この日は倍の20本。“神セーブ”を連発した。後半11分にクロスから同点被弾。「自分が出るべきだった。出て防げたシーン」と悔やんだ。ただ失点しても、頭の中のページをめくった。試合中に反省しなかった。浦和時代からの教えを実践した。2分後、ビニシウスのつま先シュートを左手で触り、ポストに当てた。「とにかくチームを助けたいとプレーし続けた」とがむしゃらに戦った。

2年前、こんな姿は考えられなかった。24年アジア杯で5戦8失点。クロス処理も、セーブもおぼつかなかった。経験を糧に大きくなった。セリエAパルマのゴールを任され、日本代表の不動の守護神の座をつかむまでになった。「アジア杯をへて、W杯でチームを救いたいと思ってやってきた。確実に成長した」と胸を張った。2年前の森保監督の采配を、正解にした。

それでも、最後の最後に届かなかった。決勝点は、触りながら取れなかった。「もう1ミリ触ってたら防げたかもしれない。手がもう0・何秒早く出ていれば…そういうレベル。ああいうのを取れるキーパーにならないと」と唇をかんだ。今大会は5失点。世界との差は、はっきりと分かった。

涙はない。もう前を向いている。「このピッチで勝つためにずっと準備して、結果が出なかった。まだまだ成長しなければいけない」と誓った。彩艶の活躍は、日本に間違いなく光を差した。まだ23歳。また4年後。もっと大きくなって帰ってくる。【飯岡大暉】

【動画】鈴木彩艶がスーパーセーブ!ビニシウスのシュートを間一髪で防いだ