オッギーのOh!Olympic
荻島弘一編集委員が日々の話題、トピックスを取り上げる社会派コラム。これまでの取 材経験を絡め、批評や感じたことを鋭く切り込む。

◆荻島弘一(おぎしま・ひろかず)1960年(昭35)9月22日、東京都生まれ。84年に入社し、整理部を経てスポーツ部。五輪、サッカー などを取材し、96年からデスクとなる。出版社編集長を経て、05年に編集委員として現場の取材に戻る。
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40歳ビョルンダーレン7個目金のすごさ

 いよいよ、競技が本格化してきた。9日までに、98個のうち13個の金メダルが決まった。驚いたのが、バイアスロン男子10キロスプリントに勝ったオーレアイナル・ビョルンダーレン(ノルウェー)。総獲得メダル数は12個で、同じノルウェーの距離選手ダーリに並ぶ冬季五輪史上最多タイになった。金メダル数7個もダーリの8個に次ぐ記録。「帝王」が「鉄人」の記録に迫ったのだ。

 もう1つ驚くのは、ビョルンダーレンが40歳ということ。06年トリノ大会スケルトン男子のギブソン(カナダ)の記録39歳を更新する冬季史上最年長金メダリスト。ギブソンが更新した記録は72年札幌大会バイアスロン男子20キロのソルベルク(ノルウェー)の35歳だから、40歳という年齢がいかにすごいか分かる。

 ビョルンダーレンが初めて五輪に出場したのは、94年リレハンメル大会。以来6大会で活躍してきた。4年前のバンクーバー大会では団体で金、20キロで銀メダルを獲得したものの、15キロでは27位と失速。限界説も流れた。過去6回総合優勝を果たしたW杯でも、9-10年シーズンから10、10、16、22位。ソチ五輪も優勝は難しいと見られた。

 それでも、長年積み上げてきた実力は本物だった。バイアスロンはクロスカントリーと射撃を同時に行う競技。スプリントは約3・3キロのコースを3周し、その間に伏射と立射各5発を撃つ。1発外すごとに150メートルの罰走。ビョルンダーレンは立射で1発外したものの、圧倒的な走力でカバーして優勝した。射撃ノーミスながら1秒3差で2位に終わったライデルティンガー(オーストリア)は25歳。W杯総合トップで6位だったフールカデ(フランス)も25歳だ。

 「40歳という年齢は、いつも忘れている。20歳と同じ気持ちだよ」と平然と言ってのける。そんな選手がいることも、五輪の楽しさの1つだ。もしジャンプの葛西が41歳で金メダルを獲得したら、抜くのはビョルンダーレンの記録になる。

 ジャンプの高梨沙羅、フィギュアの浅田真央らに加えて、ジャンプ陣にフィギュア陣、さらにスピードスケート陣。今大会は、日本のメダル候補が多い。テレビも新聞も、どうしても日本人中心の扱いになるし、日本勢への「応援」ばかりになる。もっとも、五輪の楽しみはそれだけではないはず。世界の超人や鉄人、世界一を争うスーパースターを見るのも、五輪の魅力だ。日本選手への声援はもちろんだが、視点を変えて「すごい外国人選手」を見ないと、五輪の楽しみは半減してしまう。




日本のメダル数

金メダル
1
銀メダル
4
銅メダル
3

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