オッギーのOh!Olympic
荻島弘一編集委員が日々の話題、トピックスを取り上げる社会派コラム。これまでの取 材経験を絡め、批評や感じたことを鋭く切り込む。

◆荻島弘一(おぎしま・ひろかず)1960年(昭35)9月22日、東京都生まれ。84年に入社し、整理部を経てスポーツ部。五輪、サッカー などを取材し、96年からデスクとなる。出版社編集長を経て、05年に編集委員として現場の取材に戻る。
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絶対王者へ!羽生は悔しさを成長の糧に

 フィギュアスケートで羽生結弦が金メダルを獲得した。冬季大会での日本選手の金メダルは、72年札幌大会のスキー・ジャンプ70メートル級の笠谷幸生から数えて10個目。夏季は12年ロンドン大会までで130個を手にしているから、いかに冬季の金メダルが貴重であるかが分かる(もともと種目数が大きく違うけれど)。

 フリーで2度転倒し、羽生自身も「金メダルは難しい」と思ったはず。ところが、ライバルのチャンもミス。いつも通りの演技をすれば上回れるところだったが、それができなかった。一度はあきらめた金メダルが、転がり込んだ。「棚ぼた」ではなく、羽生自身が呼び込んだものだと思う。

 前日のショートプログラム(SP)、羽生は史上初の3ケタ得点を出した。チャンは驚きながらも「追いかける立場はいい。ユヅルはターゲットを背負った」と五輪初出場のライバルを強烈に意識していた。SP終了時点で「金メダルはユヅルかも」と覚悟したのだろう。ところが、目の前で羽生が転倒し、金メダルのチャンスが訪れた。

 羽生の滑走順は21番目、チャンは直後の22番目だった。「たら、れば」は禁物だと知りながらも、想像してしまう。仮にチャンが先だったら、羽生の直後でなかったら…。結果として、羽生の信じられないミスの直後に、世界選手権3連覇の王者も信じられないミスを連発した。前日にあれだけ挑発的な発言をしていたのだ。平静ではいられなかったのだろうと思う。

 対戦競技ではないフィギュアスケートだから、羽生は「自分自身との戦い」と話した。その意味では、本人も「勝った」とは思っていないはず。SPでは完勝しても、フリーは満足のいく演技には遠かった。だから、「悔しい」と言った。

 ただ、金メダルは相対的なもの。いくら自分自身で最高と思える演技ができても、ライバルがそれ以上の演技をすれば金メダルを手にすることはできない。ミスをしても、他の選手以上の点数をとれば1番になれる。自分自身に負けたかもしれないが、勝負には勝った。実際に羽生のフリー得点は全選手中最高だった。SPだけではなく、ミスをしたフリーも金メダルだった。決してSPの貯金だけで得たメダルではない。

 憧れだったプルシェンコを団体のSPで上回り、絶対王者といわれたチャンをも超えた。新旧交代。これからは、王者として追われる立場になる。だからこそ「悔しい」気持ちは貴重。自分自身に勝つために、さらなる成長を目指せるからだ。SPで見せた圧倒的な演技を、今度はフリーでも見せてほしい。

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日本のメダル数

金メダル
1
銀メダル
4
銅メダル
3

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