<箱根を読み解く7つのカギ:(2)3強>

 昨季3冠の早大、2年ぶりの王座を狙う東洋大、そして1万メートル28分台ランナーを7人そろえる駒大。昨季から「3強」と例えられ、覇権を争ってきた。3大駅伝の初戦10月の出雲は、東洋大が1区柏原(4年)の出遅れをチーム力で挽回し「脱・柏原」を証明して初優勝。続く11月の全日本は、駒大が2区の村山(1年)の飛び出しで主導権を握り、そのまま押し切った。

 そして今回の箱根で、優勝候補の1番手と目されるのが東洋大だ。前回メンバーが8人残り、勝負どころの5区には柏原が控える。前回は大会新記録の11時間12秒を記録しながら、早大に21秒差で屈した。今季は「その1秒を削り出せ」をテーマに、チームとしてのまとまりを求めた。酒井監督は「時間に例えるなら1人2秒差。それを全員で分かち合いながら、やっていこうとなった。与えられた区間でおのおのが頑張る。フォアザチームの精神でやる」と意気込む。

 その東洋大に劣らぬ選手層を誇るのが、かつて「常勝軍団」と呼ばれた駒大だ。1万メートルの上位10人の平均タイムは28分40秒。早大の28分49秒、東洋大の29分2秒を抑え、史上最速チームの呼び声が高い。大八木監督は「4連覇したころより速さがある。全日本のように前の方でレースができればいける」と言う。柏原が控える5区までに、東洋大相手に最低でも3分のリードが求められるところ。平地での走りがカギを握る。

 一方で早大は乗り切れていない。主力の八木主将(4年)、志方(2年)が故障で欠場したことが響き、優勝戦線に絡めず出雲、全日本とも3位。そんな現状から「2強+1」と揶揄(やゆ)されるが、左足底筋膜炎で長期離脱していた八木主将が今月からチームに合流。出場は微妙ながら、渡辺監督は「チームの雰囲気が明るくなり、出雲、全日本の時とは大違い」。そしてエース大迫(2年)が健在とあって「ようやく東洋と駒沢に手が出せる」と好感触を口にする。

 前回の優勝記録は初めて11時間を切り、10時間59分51秒。道路事情など取り巻く環境が改善されたとはいえ、第1回(1920年)の15時間5分16秒(東京高範)から大幅に記録は短縮された。高速レースが期待される中、「ミスしたら負ける」とは駒大・大八木監督。東京箱根間往復217・9キロ。3強をめぐる勝負は、ゲタを履くまで分からない。【佐藤隆志】